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少し離れた場所からAちゃんと誰かの笑い声がした。
末澤くん………
仲良かったんだ。
末澤くんが何かを言って、どこかへ行った。
「なに、話してたの」
「え？あぁ他愛のない話だよ」
「ふーん」
沈黙が続く。
「話ってなに？」
Aちゃんから切り出した。
「んーと、なんかAちゃんの顔がくらい気がして」
「やっぱりバレた？」
「うん。今日、嵐さんのバックに付くことを聞かされた………そんなに俺らが後ろに付くのいや？」
Aちゃんが驚いた顔をした。
「な………んで………分かったの」
「タイミングもあるけど、Aちゃんソロやる時とか俺ら1回も付いたことないからさ」
「そっか………」
「理由、聞いてもいい？」
怖い。何がと言われれば分からないが、恐怖と不安が体を渦巻く。
「昔話、聞いてくれる？」
なんでそんな悲しそうな顔をするんだろう。
「昔ね、関西ジャニーズJr.と一緒に活動してた時なんだけど。
1回だけ嵐のバックに付いてもらった事があったんだ。
それ以降ね、何人かの態度がよそよそしくなったんだ。
人伝に聞いたら、格差を感じたらしくてさ、
そっからは嫉妬の嵐。少し衣装が違うだけで陰口でしょ。
んで、1人辞める際にさ
『別世界にいる人間が俺たちを分かった風に話すんじゃねぇ』ってさ。
そっからかな。Jr.との関わりを少なくしたのは。
まぁ、みんながみんなそうじゃないってのは理解してるんだよ！
けどね、今一緒にグループ活動してるからこそ。
こういう事が起こったらキツイなって………ゴメンね。不安にさせて」
終盤、Aちゃんの事を見れなくなった。
既に何人か格差を感じてるメンバーが居るからだ。
「尚大、分かってるから」
泣きそうなAちゃんと、泣いている俺。
俺なんか泣く資格ないのに。
「私ね、弱いんだ。早く大人になりたくて、強くなりたくて………けどちっとも成長しなかった」
そんな事ない。Aちゃんは強い。
俺はAちゃんの背中をずっと追いかけてきた。
その背中は大きくて、遠くて
走っても走っても追いつけなくて
それなのにそれでもまだ足りないと藻掻く彼女は
とても、とても
美しかった
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作者名：らび | 作成日時：2023年2月5日 16時
