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最終回 桃色のチラシ ページ26

そしてその手紙と共に、ドーナツが五つ入っていた。

私はそれをポストに入れたまま
しばらく俯いていたけど、気配を感じて振り向いた。


「──スネリ」

「A、もっけが早く帰ってこいって。ご飯が冷めちゃうわよ」

「もっけが?」


「そうよ。ご飯も、もっけが作ったの。コーポ八百八で食べる最後の食事ね」

「……もっけが作ったものって大丈夫なの?」

「さぁね。私は人間の食べられるものを食べられなくてラッキーだったわ」


「ひ、酷い……!」

「それを言うならAも酷いじゃない?」

「そういわれれば……た、確かに」

「フフッ、じゃぁ行きましょう」


スネリがそういうと、ユイちゃんのマンションから出た。
ふと気が付くと、空からはらはらと舞い降りてくる物があった。

それを取ると、桃色の小さな紙切れで、文字が書かれていた。


『南の島、果南島に木と花のテーマパーク
“楽園”がオープンしたよ。みんなで遊びに来てね』


チラシだった。
見上げてもそこには乗り物も、人らしき姿も見えなかった。

道行く人々も不思議そうに空を仰いでいる。


「何かあるわね」

「……次は果南島ね」


そのとき、マンションの屋上から、二人を見つめる瞳があった。
黒い犬と少年。それぞれの瞳が不吉に、鋭く光っていた。


end

*お知らせ!&雑談!→←第2.34話 ユイとリョウと私


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作者名:フェイル | 作成日時:2010年9月21日 4時

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