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第2.33話 人間と人魚 ページ24

そして、しずくさんの体は吸い込まれるように妖界へ戻っていった。


コトン。


その後、きらりと光る玉が床に落ちていた。

私がそれを拾い上げると、玉の中から文字が浮かびあがった。
『水』と。これもまた「みず」と読むのか「すい」と読むのか。


「おつかれさま」


スネリの声に振り向くと、
猫姿に戻ったスネリの横でリョウさんが倒れていた。


「眠っているわ。私が尻尾で記憶をなくしたから」

「しずくさんのことも忘れてしまうの?」

「いいえ、私にできることは、Aに関わったこの場所のことだけ。
だから、しずくさんとの思い出は消えていないはずよ」


「だけど。しずくさんが急にいなくなったこと、リョウさんはどう思うか……」

「……この人は人間だ。所詮、人魚と一緒にいられないことはわかっていたさ」

「帰りましょうか」

第2.34話 ユイとリョウと私→←第2.32話 犬を連れた男の人


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作者名:フェイル | 作成日時:2010年9月21日 4時

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