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第2話 大道芸人、しずく ページ1

──水の玉が、大きな弧を描いて落ちてゆく。

空の青を飲み込んだような玉は
きらきら輝きながら、女の人の手におさまった。

女の人は、きゃしゃな体に、うすい絹のような衣装を身につけ
水の玉をお手玉のように操る。


周りには人がきができていて、その中に私もいた。

足元にいるスネリと共に。宙に舞う水の玉の数が増え、
その速さを目で追うことが出来なくなった時。



ぱしゃんっ



すべての水の玉がはじけ、シャワーのように女の人に降り注いだ。


「あ〜ぁ、ずぶぬれ」

「失敗、失敗。今日はこれでおしまいです」


子供の声に、苦笑いをしながら返した女の人。


「すごかった」

「不思議だったね」

「また来るね、しずくちゃん」


あちこちから歓声が上がり、拍手が鳴り響いた。
人の声によると、あの人の名前はしずくというらしい。

ギャラリーの輪がほどけ、かごにお金が投げ込まれていった。
私は今、お金を持ってきていなかったので困ってしまった。


「えっと……しずくさん、ごめんなさい。
お金を持ってきていなくて。よかったらこれでふいてください」


私はその人の目を見ると、一瞬だけ、緑色に見えた。外国の人かな……。


「ありがとう」


そう言って、微笑んでハンカチを受け取った。
手が触れた時、ひんやりしていた。水を触っていたせいなのか。


「明日は、海の公園でショーをするわ。よかったら見に来て?」

「わかりました」


笑顔で答えたあと、私とスネリは走り去った。
あの、しずくという人は、なんだか不思議……。

第2.1話 この町の流行り→


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作者名:フェイル | 作成日時:2010年9月21日 4時

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