【プロセカ】それでも私たちは描き続ける(東雲絵名) (ページ1)

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プロローグページ1

物心ついた頃には絵が好きだった。想像の中の物を描いて描いて、誰に見せる訳でも無いのに、夢中で描き続けていた。だけど、今は…

『#○○絵描きさんと繋がりたい #○○好きな人と繋がりたい ♡RTどちらもお迎え行きます』

「これでよし、っと……。いいねどの位つくかな？」

使い回しのちょっと頑張った絵を複数枚選択し、投稿する。

「あ、相互さん拡散してくれてる…有難いな。私も後で相互さんの繋がりたいタグ探してお返ししとかなきゃ。」

増えてく相互フォロワー。把握しきれていない呼びタメオッケーのリスト。お世辞のコメントを飛ばしあって、最新の情報を得ては落書きでもいいから何かしら絵を上げて。

正直、面倒くさい。でも、こうでもしないと私の絵なんて誰にも見て貰えないから。

「あーあ…何やってんだろ、私。」

書きかけて止めたコメントを下書きに保存し、今日もあのアカウントへ飛ぶ。

フォロワーの殆どいないそのアカウント。淡々と上げられる絵はどれも個性的で、美しくて、手が込んでいて、一枚一枚に命が塗りこまれているような印象を与えてくれる。

なのに、

「なんでいいね少ないんだろ……。」

どれも私なんかの絵より、よっぽど丁寧だ。
私が上げる落描きよりも少ないいいね数をぼんやりと見つめる。

どんな人が描いてるんだろう。どうして評価されないのに描き続けられるんだろう。
日に日に増す疑問も相まって、私は何処かの誰かもわからないそのアカウントを追いかけている。

「そろそろ25時だな。」

夜はまだ長い。