愛故に気づいてはいけない。 ×in (ページ18)

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「…さぁ。これで二人で話できるね…。」

「何で、裕翔を止めさせたの。」

「言ってるでしょ。二人で話をしたかったからだよ…。」

目の前のこいつは、怯える訳でもなく苦しむ様子もなく、

ただただ、笑っている。

俺の山田を締める手のほうが、恐怖で微かに震えていた。

「二人で話す事何か、もう無い。」

「そうだよね。もう、ゆうてぃに嫉妬に塗れて

俺を殺そうとしてる姿、見られちゃったもんねぇ。」

「…うるさい。」

「嗚呼、これじゃあ俺が消えても、ゆうてぃは

伊野尾ちゃんの元に、戻らないね。」

「あ、そっか元々伊野尾ちゃんの事なんか

飽きちゃってるもんね。ゆうてぃ。」

「黙れ！！」

無茶苦茶になって、訳がわからなくなった俺は

目の前の山田を殺そうとすることばかり考えて、

俺の全部の力で山田の首を締める。

余裕だった山田の顔は、徐々に崩れていき

苦しそうな顔になっていく。

苦しい顔になる山田の反対に、俺はその苦しむ顔を見て

口角が上がる。

「裕翔は…っ、お前なんかに渡さない。」

「ゔぁ…、っ、馬鹿だねぇ …。」

あと少しで、あと少しのタイミングで

楽屋の扉が思いっきり開かれた。

「伊野ちゃん！」

「山田！！」

メンバーの声がする。

それと、同時に俺は誰かの力強い力で

山田から引き剥がされた。

俺、裕翔を取り戻すことも山田を消えさせる事でさえ

何もできなかった。

急に、糸が切れたように視界が黒くなって

世界がぐるぐる回る。

足がおぼつかない。

そこで、俺の意識は途絶えた。

最後に見たのは、楽屋の鏡に映った

痩せて、クマもできて、青白くなった自分の姿だった。

　

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…??