漆黒の境界線act.Ⅲ (ページ5)

今日:2 hit、昨日:21 hit、合計:10,880 hit

Episode13-4 ページ5

「どうにも…出来ないな。こんなに暗いとは…」
安室透は解除に困っていた。暗くて分からず、1本も切れていないのだ。
「取り合えず…蘭たちと会わねぇとな。イルカショーが……」
「もう過ぎてるわ」との声を聞いた江戸川コナンは焦った。探しに水族園の館内を歩いているのではないかと考えてしまう。
(くそっ…！)
三日月と星が描かれているストラップを手にしたまま走って館内を探す。後から灰原哀が駆け付けてきた。
「私も行くわ、一人では危ない」

ドォオオンッ！

爆弾が一つ爆発し、それは安室透が解除していた爆弾だった。
「安室さん！」
江戸川コナンは走って駆け寄るも、灰原哀は止めた。「彼なら大丈夫よ、そんな簡単に死なないわ」と言い聞かせる。
(そうだな……)

(いっつ……！)
安室透はゆっくりと起き上がって砕けた壁の破片から抜け出した。すると、ある手が伸びていた。
「お前は……！」
安室透に差し伸べた手は赤井秀一だった。

「…大丈夫か？」

安室透は赤井秀一の手を取って立ち上がった。汚れた服を気にしていたが、あまり汚れは目立ってはいない。
「赤井…どうした？」
送られてきたメールを見ていた。藤宮琉奈の両親についてのメールで、黒の組織に関連している等と書かれてあった。
(厄介なことになりそうだ……)
パタンと携帯電話を閉じ、ポケットにしまった。
「黒の組織から藤宮琉奈の両親について聞かれてないか？」
単刀直入に赤井秀一は安室透に聞き出してみた。安室透はそのことを分かっていなく、「知らないな」と答えた。
(藤宮琉奈の両親については…仲間に伏せている…ということは余程知られたくないからだろうな。これは…どういうことなんだ)
考え込んでいると安室透が「どうした？」と声を掛けてきた。
「いや…何でもない」
そう言って水族園のエントランスから離れ、ウォーターロードへ。
「もし、藤宮琉奈の両親が黒の組織に関連していたら……君はどう思う？」
急に質問を投げ掛かれて安室透は驚いた。その様子を見て、ふっと赤井秀一は笑った。
「まぁ…普通は驚くのは当たり前だ。黒の組織に関連している……それを知った上で『こうしろ』とは言わない」
「…何が言いたい？」
安室透はいかにも食らいつこうとしていた。それを止めて、赤井秀一は水槽を見上げる。
「藤宮琉奈の両親を知って何を得られるのかそして、何がしたいのか…だ」
(そう……だな。それを知ってどうするのかということか)
安室透はそのことで考えていた。ウォーターロードにいる二人は少しの間ここから動くことはなかった。