漆黒の境界線act.Ⅲ (ページ30)

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Episode19-5 ページ30

「あの出会いが最初じゃねぇ、前から繋がってたのかもしれねぇな」
煙草を加えながらジンは呟いた。前から繋がっていたかもしれないという。
記憶を混乱させた能力(ちから)を使って全てを終わらせようとしていた。だが、ジンは覚えていたのだ。
「そうですね……っ」
照れ笑いして、私は微笑んで見せた。それが機嫌を悪くすることになってしまう。
「反則だぞ、ムーンライト」
その声は殺気に満ちていた。ベットに座っていた私に視線を向けている。
(……！！)
私はその殺気に動けなかった。
「他の男にみせるんじゃねぇよ、てめぇは俺のもんだ」
(そうだ、私は……！)
前にもそのようなことがあったような気がした。他の男性と一緒にしたくないという。
「…ちょっと待って！」
私は止めようとしたが、全く止まる気配はしなかった。
「待てねぇよ」
距離がだいぶ詰めより、私は動けなかった。動かないというよりは力が入らない。
(………！！)
後ろに手が周り、引き寄せられる。私がしたことがこれに繋がるとは思いもしなかった。
私は壮絶なことに思わず目を瞑った。すると、何かが触れた間隔が感じられた。分かっていたが、私はどうすることも出来ない。
「……！？」
へこたれていると、フンと鼻を鳴らし怪しげな笑みを浮かべた。
「…行くぞ。用意しろ」
背を向けて先に部屋を出ていってしまった。任務なのだろうか、私は急いで支度をして部屋を後にした。
「ウォッカ、車を回せ！」

「了解しやした！」

ウォッカは車を止めてある駐車場へと向かった。私も後に続いて追う。
「ムーンライトも連れていきやすんですか？一人でも大丈夫かと思いましたが……」
ウォッカは歩きながら聞いていた。二人は何やら会話をしている。
「フン………」
鼻を鳴らし怪しげな笑みを浮かべた。車に乗った私は何処にいくのかも分からなかった。
(何処にいくんだろう………)
行き先が気になったが、言わないでおいた。また何か言われるのは避けたい。

私の居場所………

車の窓に身体を傾けた。太陽が照らし、ほんの少し遠くにある月が微かに見える。

三日月だった。

私が持つ三日月と星のストラップと重ねる。
ぴったりと一致して、そこから光が出た。

最初の出会いが私の運命を変えた…
その出会いより前から繋がってたのかもしれない。

出会う前から元々繋がっている……
私にはそう思えなかった。前から自分の運命が決められていたことに。

そんなことを考えながらも、私は太陽の日差しの中で眠りについた…