漆黒の境界線act.Ⅲ (ページ29)

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Episode19-4 ページ29

(…………！！)
「あの方直々の命令だ、何故かは知らんが」
私は絶句しそうになった。“あの方”が頭が覚えている。
「…どういうことだ？」
見抜かされてしまい、私は“あの方”について覚えていることを話した。

確実なのは“あの方”の娘であること。

それを伝えると、驚いたような顔をして私を見てきた。
「それは…確かなのだな？」
睨まれて私は身を震わせた。睨まれたのだから。
「はい…隠していてすみません。あの方から『この事は言わないように』と言われたのですがもう遅いですね」
ため息をついて、私は水槽を眺めた。あの方の娘……身体能力・洞察力・死神の力と数々の能力をは受け継がれ、死神の力は母親譲り。
「…………………」
何故かそれから沈黙が流れた。良く分からない沈黙。
「あの、お客様…そろそろ……」
店員は残っている私たちに声を掛けた。閉店時間からだいぶ経っている。
「…ずらかるぞ」
スタスタと先へ行ってしまい、私は後を追いかけた。

その後の東都臨海水族園には江戸川コナンがやって来たのだった。
「お姉さん、ここに誰かが来なかった？」
店員に誰かが来なかったか聞いてみる。店員は藤宮琉奈とジンが来ていたことを話した。
(俺の読みが当たっていたとはな……ということは藤宮の奴はここにいる！)

(…………)

東都臨海水族園の西館の裏に隠れていた警備員の服装をした安室透がいた。
「コナン君…」

次の日。
私はとある部屋で目が覚めた。寝不足なのか、寝たい気分だった。
「あら、起きたようね……」
部屋にベルモットがやって来て、こちらに視線を向けている。
「寝ていたでしょう？誰かさんが貴方をここまで運んで来てくれたわよ」

(………！！)

私はここまで運んで来てくれた人が大体分かっていた。誰かが分かると、驚くしかなかった。
「じゃあね、ムーンライト」
手をひらひらさせて部屋を後にした。部屋の外にはジンが壁に寄り掛かっていた。
(…………)
ベルモットは不適な笑みを浮かべ、去っていった。
「…入るぞ」
部屋に入ると、藤宮琉奈は背を向けていた。
(何で…来るのかな？ベルモット、何か吹き込んだのかなぁ？)
そのようなことを思っていたが、ここまで運んで来てくれたお礼を言うことにした。
「ここまで運んで来てくれたのは貴方ですよね？ありがとうございます」
フンと鼻を鳴らし、煙草を吸っている。手放せないのだろう。