漆黒の境界線act.Ⅲ (ページ28)

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Episode19-3 ページ28

混乱していた記憶が整理され、はっきりと思い出す。
(なるほどな……そういうことか)
手当たり次第に藤宮琉奈を探し出す。ある場所に目が付き、その場所へと向かう。

それは、東都臨海水族園。

藤宮琉奈もそこにいた。何故かその場所にいたのだ。

「…………！！」

激しい頭痛が藤宮琉奈を襲う。数々の記憶がフラッシュバックのように思い浮かぶ。
「いやぁあぁああっ！」
藤宮琉奈は頭を抱えて絶叫してしまった。
完全に記憶が思い出すと、どうすることも出来なかった。

「……ここか」

その時には既にジンが東都臨海水族園に到着していた。藤宮琉奈を探してやって来たのだった。
「あのっ、お客様…そろそろ閉店の時間なのですが……」
店員に言われてしまうが、構いなくずかずかと中に入る。
(ちょっ……！！)

東都臨海水族園・西館。
ウォーターロードに藤宮琉奈はいた。夜空の光が差し込み、水面の模様が床に現れる。

カツン……

何者かの気配を感じ、藤宮琉奈は振り返った。そこにはジンがいた。
「やっと、会えたな…ムーンライト」

(…………！！)

藤宮琉奈は手も足も動かなかった。ほんの少しだけ殺気が含まれていた声に迂闊に動けない。
「まさか…と思ったけど。ここだと分かったわね？」
距離がだいぶ離れていたが、その距離にはあまり気にしなく普通の声で言った。
「てめぇが生きていたとはな……終わりだと思っていたが」
藤宮琉奈は自分の能力(ちから)を使って全てを終わらせたことを思い出した。
カツンと警備員の足音が聞こえる。近付いてくると分かると、どうしようかと考えた。

ぐいっ

腕を引っ張られ、強引に別の場所へと連れていかれた。
「…………！」

大水槽前。
その水槽付近にあるベンチに私は座った。静粛に包まれた水族園。
「また私を連れていくんですか？」
ここに来たことを分かっていても、私は聞きたかった。
「…他に何がある？」
煙草を吸いながらそう言った。連れていくの他に選択肢はない。
「これをやる…無くすんじゃねぇぞ」
ひょいと三日月と星のストラップを投げ渡した。投げることはないかと思ったが、口には出さないでおいた。
「ありがとうございます……」
その言葉を聞いたジンは怪しげな笑みを浮かべ、席を立った。
「…次、行くぞ」

「はいっ！」

見失わないように私は後を追いかけた。しばらくの間、水族園内にいることになった。
「何故、組織は私を狙うんですか？狙う理由は分かりますが……誰からの指示で狙うことではないですよね？」
再確認の為に一度聞いてみた。すると、ピタリと足が止まった。