漆黒の境界線act.Ⅲ (ページ22)

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Episode18-1 ページ22

遊園地の観覧車に設置された爆弾のカウントが始まった。与えられた時間は5分。全ての爆弾を解除するのは極めて困難だ。
「コナン君、どうすればいいの？！」
泣きながら歩美は江戸川コナンに助けを求める。光彦、元太はどうしようかと焦っていた。
『指示するから、余計なことするんじゃねぇぞ！』
探偵バッジを通じて指示を待つ事にした。探偵バッジは光彦、元太、灰原が持っており会話は聞かれている。
(工藤君……)

『…起きなさい、琉奈』

頭にその言葉が響いた。目が覚めると、夜空に輝く三日月。何処を見ても夜空だった。
「久しぶり、元気だった？」
目の前には水色の髪をした女性がいた。斬魄刀の“白蘭(はくらん)”、藤宮琉奈が所持する斬魄刀の名前。
「なかなか会える機会がこういう時なんてね。思ってもなかったわ…」
何故かどこかで寂しそうに聞こえた。私にはそう聞こえられたのだった。
「成宮さくらに言われた事…“望み通りに生きて欲しい”というのを真面目に考えなさい」
望み通りに生きる事を斬魄刀にも言われてしまい、思わず食らいつきそうになった。
「ゴメンね、そのつもりはなかったんだ。けど、貴方のことを思って言っている事だけは分かって欲しいな」
(改めて考え直して欲しいってことね)
心の中で考えている事を見抜かしたように白蘭は「分かってくれて嬉しいな♪」と言ってきた。

「でも……！」

藤宮琉奈の手が握られていることが分かると、白蘭は悲しそうな顔をした。
(変わらないのね…そうすると私にも影響が及ぶんだけど)
「私は…望み通りに生きるキッカケを与えてくれた。それを踏みいじる訳には行かないの」
きっぱりと断ると、白蘭は悲しそうな目をして私を見てきた。その目からは“悲しい”が伝わる。
「ちょっと昔話でもしようかな…」
目を閉じて昔話を語り出そうとするが、藤宮琉奈は「そんな話を聞く必要ない！」と言い張った。

「貴方って変わらないね、そういう所。そんなに望み通りの生き方を考え直したくないのか…」

(……！)
何が来るか分からなかった。白蘭から異様な霊圧を感じたからだ。
その霊圧は“怒り”が含まれていた。
「私に対抗するなら…仕方ありませんね。貴方のその思いを私に伝えるのね！」
白蘭は右手を伸ばして、その先から光が溢れる。そこから斬魄刀が現れ、それを藤宮琉奈に渡す。
(戦うってことか……)

「始めるよ、準備はいい？」

白蘭が聞いてきた。私はもちろん、大丈夫と答える。すると、白蘭から攻撃を仕掛けてきた。
キィンッ！
斬魄刀がぶつかり合い、そこから霊圧が放たれた。互角の霊圧だった…