漆黒の境界線act.Ⅲ (ページ11)

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Episode15-2 ページ11

(逃げるしかないよね…！)

私はとっさに死神化してその場から瞬歩で逃げようと試みた。この姿ではすぐに捕まってしまうからだ。
「…追うぞ、ウォッカ」
「了解！」
怪しげな笑みを浮かべて海辺の工場を探り出した二人。藤宮琉奈は物陰に隠れていたが、いずれ見つかるので場所を少しずつ変えていった。
(何なのよ…彼奴ら！何でっ…)
走っていると誰かの足音が聞こえ、影に隠れて息を殺した。隠れたつもりなのだが、見つかってしまい銃を向けられる。
「おっと…遊びはここまでだ」
(どうする…私、このままでは……！)
背中に冷や汗が流れた。今の状況から抜け出す方法を考えるが、いい案が思い浮かばない。

だが、唯一の選択がある。それは…

“向き合って戦う”

それしか方法はない。私は斬魄刀を抜いて構える。
(この姿を見えているということは…かなりの者よね)
死神が見えていることに私は驚いたが、目の前のことに集中することを自分に言い聞かせた。
「盗聴器を付けたって言ってたよね？全てのことを知った顔してるけど、それだけではないけど」
斬魄刀を握り直して言い放った。ウォッカは少し驚いていたが、ジンはそれとは違った。
「力尽くで聞き出すまでのことだ」
(……っ！！)
私は瞬歩で詰め寄り、斬魄刀を振り下ろした。思いもよらない展開に私は驚いた。
攻撃を交わされ、腕を掴まれてしまっていたのだった。

(この状況では……！)

銃口が額に当てられてしまい、動揺が走った。
「何故…撃たない？」
引き金を引く気配はなく、怪しげな笑みを浮かべていた。力が入らず、私はどうすることも出来なかった。
「利用価値がある…それとてめぇに興味がある」
ふと思い付いた鬼道を放ち、距離を取った。良い案が思い浮かばず時間が過ぎるだけだった。
「兄貴、取引の時間が迫ってますが…」
取引までの時間が少しずつ迫ってきていた。腕時計をたまに見て時間を大事にしているらしい。
「ベルモットにやらせれば良い、気にするな」

(ベルモット…？奴等の仲間か？)

初めて聞く名に私は不思議に思った。真っ先に仲間の名前と考えた。ふっと持っていた斬魄刀がないことに私は気付いた。
「そんなにこれが大事か？」
斬魄刀を手にしていることをバラし、私を引き付けようとしているのだろうか。
(あの状況から斬魄刀を……？！)
悩んでいるうちに刻一刻と距離が迫られていた。そのことに気付いて私は後ずさる。
「これでもまだ逃げるのか？」
壁に問い詰められてしまい、どうすることも出来ない。助けに来てくれる者がいなく出来るのは考えるしかなかった。