漆黒の境界線 act.Ⅱ (ページ23)

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Episode12-3 ページ23

(そうだ、私はそろそろここから出ないと……)
藤宮琉奈は水族館の“ウォーターロード”を歩いた。巨大水槽の中に通路がある所をここの水族園では“ウォーターロード”と言っているのだ。

「……！！」

後戻りは出来なく、ここから抜ける術はなかった。
身体が思うように動かない。
動きたくても動けない。

頭が真っ白になってしまった。

私が望む生き方……とはなんだろう。
ふと、私はそんなことを今さら思い返していた。

“現世で…色んな人と出会って…そして私を受け入れてくれた。その人は私を待っている…だから…私は現世に戻りたい！”

私が言っていた言葉が頭に浮かんだ。そんなことを言っていたような感じがしていた。
(何考えてるんだろう、私って…望み通りに生きること、それは…もう一つしか……ない)
そして私は現実に引き戻された。

「一足遅かったか……！」

江戸川コナンは売店が立ち並ぶ通路の脇にいた。追跡眼鏡で藤宮琉奈の姿を見つけ、近くにジンがいた。
「工藤君、どうするのよ？！」
どうしようかと考えているが、洗脳されていることを気付かせるのも考えている為、頭が混乱しそうだ。
「くそっ…どうすればいいんだ！」
その様子を見ていた従業員は声を掛けた。その声に聞き覚えがあり、それは安室透だった。
「安室さん…！」
江戸川コナンが言うと、安室透は少し微笑んで見せた。従業員の服装から元の服装へ変える。
「何か策があるのかい？」
そう言われて返答に困ってしまった。
「それなんだけど……」
安室透と江戸川コナンが話し込んでいると、灰原哀が二人がいないことに気付いた。
(気付かれたか…！追うしかねぇ！)
江戸川コナンは走って行ってしまった。
「ちょっと工藤君！」
追跡眼鏡で探してみるが見当たらなかった。悪態をつくと、灰原哀と安室透が駆け付けた。
「隙を突かれて、まんまに種を撒かれましたね」
ふぅとため息をつき、安室透は別の方向へ歩いて探し出す。江戸川コナンと灰原哀はそれとは違った方向へ向かった。
(何処に行きやがった…！)

遠く離れた駐車場では指示を待っていた。キャンティとコルンとは別に、ウォッカとベルモットがいる。
「第2幕の時かしら…？」
鳴っている携帯電話を取って連絡を受ける。
『次の段階に入る、心してかかれ』
「了解したわ」
『例の物は手配済みなのだろうな？』
「もちろんよ、もしかして使う気なの？」
『あぁ、いい機会だしな。例の物を使え』
「了解」
そこで通話は途切れた。ベルモットはキャンティとコルンにも伝えておいておく。通話はすぐに終わり、ベルモットは準備を始める。