漆黒の境界線 act.Ⅱ (ページ18)

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Episode11-2 ページ18

「長谷部、これでいいのか？」
従業員の服を着た大倶利伽羅がやって来た。似合っていることを言うと、そっけなく視線を反らした。
(こういうの苦手なのだが……)
やれやれとため息をついた。やりたくないのだが、付き合わされたというところか。

(いずれ、ここにも来るかもしれないし……)

そう思った私は足音を立てずに別の場所へ向かった。すると、近くに江戸川コナンと灰原哀がいた。
「何処に行ったんだ……」
追跡眼鏡で探していた。だが、藤宮琉奈の姿はなくあまり調子はよくなかった。
「少しは楽しみなさいよ、変に思われるでしょ」
少し引きつったが追跡眼鏡を使うのを止めた。

「ちょっと蘭、新一誘わなくて良かったの？」
意地悪そうな笑みを浮かべていた。新一を誘ってみたらなどと毛利蘭に言っている。
「でも、捜査の邪魔したら悪し……」
工藤新一は高校名探偵で有名なのだが、捜査の邪魔したら悪いと思ってなかなか電話を掛けることはしなかった。
「いいじゃん、ちょっとくらい♪」

(そこまで言うなら……)

少しためらったが、電話を掛けてみた。すると、江戸川コナンが持つ携帯電話が鳴る。
「こっちか…！なら、やべぇ！」
走って死角に走り、変声蝶ネクタイで喋る。

『どうした、蘭？』
周りに聞こえないように手で口を隠して話す。
「新一、あのね良かったら東都臨海水族園に来ない？」
『東都臨海水族園？どーした、いきなり…』
毛利蘭の隣にいる鈴木園子は悪戯っぽい笑みを浮かべて、話しているのを見ている。
「一緒に見たいなって…駄目だよね？」
『え、えっと……』
「私、待ってるからね。今水族館のエントランスにいるからっ」
『お、おい……！』

…プツン

そこで通話は途切れた。
(…ったく、どうしてこうなるんだよ)
江戸川コナンはどうしようかと焦っていた。灰原哀はやれやれとため息をついている。
「どうするのよ、工藤君」
「どうするもなんねぇーよ…しかもエントランスで待ってるっぽいしさ…ったく」
頭をぽりぽりして考えていた。すると、灰原哀は元の姿に戻す薬を出した。念のために持っていたらしい。
「この姿でいられる時間は少ないけど…どう使うか貴方次第よ」

(どうするか……)

通話を途切れさせた毛利蘭は申し訳なさそうにしていた。鈴木園子さ「どう？」と聞いてきた。
「取り合えず来るように言ってみた…けど」
鈴木園子は毛利蘭が言う“けど”が気になっていた。
「やっぱり…捜査の邪魔したくないし」
(……そう)
毛利蘭と鈴木園子はしばらくその場所にいた。数分後に阿笠博士たちがやって来た。