漆黒の境界線 act.Ⅱ (ページ17)

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Episode11-1 ページ17

阿笠邸。
「あれ、哀ちゃんは？」
ジュースを飲みながら、歩美は阿笠博士に聞いてみた。阿笠博士は携帯電話で誰かと話しているようで、聞こえていない。
数分後、通話は途切れ阿笠博士は「なんじゃ？」と歩美に聞いた。
「哀ちゃんとコナン君って来ないのかな…って」
(……？！)
一瞬驚いたが、すぐさま顔を変えた。歩美、光彦、元太はじーっと阿笠博士を見ている。
「なんか、怪しい～…」
歩美に言われて、ギクッと思った。見抜かされていて驚いていた。「哀ちゃんとコナン君は何処にいるんですか？！」
光彦に問い詰められ、答えるにしても言いにくい。ここで断ると、さらに怪しまれるのも嫌そうで…
「東都臨海水族園じゃよ」
阿笠博士が言うと、歩美は「いいなぁ」と羨ましがっていた。光彦と元太も行きたそうで阿笠博士にお願いする。
「でもなぁ～…」
頭をぽりぽりして考えていた。考えている最中に、歩美と光彦と元太はもう準備をしていた。
「…行きましょうよ！」
(これじゃ、哀ちゃんに怒られるな…子供たちも行きたがってたし断るのも…)
ため息をつきながら、車へ移動した。

「わーいっ！ありがと、博士！」

その頃の江戸川コナンと灰原哀は東都臨海水族園に到着していた。その直後、追跡眼鏡で藤宮琉奈を探すが見当たらなかった。
「取り合えず、中に入りましょ」
館内に入るにしてもチケットが必要で、チケットを買うお金を持っていないことに気付いた。

「あ、コナン君！」

背後から毛利小五郎、毛利蘭、鈴木園子がやって来た。毛利小五郎だけはテンションが低かった。
「ったく…俺まで…」
ため息をつき、いかにも帰りたそうな顔をしていた。詳しくは言わなかった。
「どうしたの、蘭姉ちゃん？」
「園子が抽選に当たったようで…しかも今日まで無料チケットが有効だから来たのよ？コナン君と哀ちゃんも行く？」
江戸川コナンは少し心配していた。毛利蘭まで巻き込めたくはないのだが、他に入る方法はなかったのだ。
「じゃ、行こっか！」

東都臨海水族園は混んでいて、家族連れや親子などたくさんの人で賑わっていた。その中に藤宮琉奈が紛れ込んでいた。
「折角だし…少しだけは楽しんでいいよね」
ぶらぶらと館内を歩いていた。触れ合いコーナーの隣の角を曲がって、賑わっていてる所から離れる。
(この声は…)
耳を澄ましていると、へし切長谷部の声が聞こえた。他の人の声が遮っていて良く聞こえない。

「従業員に化けて潜入したものの…主が見つからないとは」
ため息をついて、仕事に励んでいた。隣には鶴丸国永がいて、館内をパトロールしにその場から離れた。