漆黒の境界線 act.Ⅱ (ページ14)

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Episode10-2 ページ14

問い詰めて花びらの中に追い込んだ筈なのだが、成宮さくらの姿がなかったのだ。
「波道の三十三、蒼火墜！」
朽木白哉ではなく、阿散井恋次に向けて放つ。阿散井恋次は来ないと思っていたのか余裕をかましていたがそれ間違っていた。
(ぐはぁあ！！)
「唸れ、灰猫！」
松本乱菊も始解するが、交わされてしまう。成宮さくらの方が速く、追い付けなかった。
「さすが…特殊番隊ね…」
左肩を斬られてそこから血が流れていく。「松本！」と日番谷冬獅師の声が入るが、松本乱菊は大丈夫そうに頷いた。
「霜天に坐せ、氷輪丸！」
斬魄刀から放れた氷の龍は成宮さくらを狙う。指を鳴らしただけで、氷の龍が砕け散った。
(なん…っ！？)
驚きのあまり声が出なかった。指を鳴らしただけで殺られるとは思いもしなかったのだ。
「目を覚ませっての、藤宮琉奈！」
阿散井恋次はそう叫ぶも藤宮琉奈には届かない。そのことが怒りの火を付けたのか斬魄刀を振り下ろす。
「私が相手するのに…藤宮琉奈に手を出すとは許さないからね！」
そう言われると阿散井恋次は歯を食い縛った。

「…全く。煩いわね、私を怒らせる等したらただでは済まないってこと見せつけるしかないか…。まぁ、いい機会だし…ね」

成宮さくらから膨大な霊圧が吹き荒れる。地響きもするくらい凄まじい霊圧…それは隊長格を通り越し、破面にも匹敵するほどだった。
「おいおい…まさか……」
日番谷冬獅師は後ずさった。もう、手に負えないと思ったのか目を開いている。
「卍解…」
2つの斬魄刀を放し、水面に花びらが落ちたような振動が出る。そしてそこから光が放たれ成宮さくらを包む。

「雪華桜蘭！！」

白い翼が生え、死覇装は変化して白くなっていた。腕には常に光っているブレスレットがある。
手を鳴らすと、羽根が無数に放たれた。
(…避けきれねぇ！)
羽根を避けるにしても避けきれず困っていた。羽根が衣装につき、羽根は刀へと姿を変える。

(…！！)

朽木白哉の身体を貫き、成宮さくらがすっと手を引くと刀は抜かれ血が流れた。
「朽木隊長！」
阿散井恋次は振り下ろそうとしたが、成宮さくらの姿がなかった。辺りを見渡していると、もう成宮さくらは阿散井恋次を通りすがった。
「なっ…！」
渦状の光がある腕を右肩に当てる。

ドォオンッ！

阿散井恋次は吹き飛ばされ、地面に倒れる。日番谷冬獅師は斬魄刀を振るうが、素手で掴まれて驚いた。
(なっ……！)
握っている手から白い光が放たれ、衝撃を食らわせた。
「散れ…千本桜」
また朽木白哉は始解し、成宮さくらを捕らえる。やったと思ったがそれは違った。