漆黒の境界線 act.Ⅰ (ページ7)

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Episode2-3 ページ7

コツコツと足音が聞こえる。それは大倶利伽羅だった。
「夜中に出るとか、何を考えている」
(倶利ちゃん……！)
「倶利伽羅だけではないぜ、俺も行くぜ！」
ひょこっと鶴丸国永が顔を出した。
「国永、その言い方止めろ」
「別にいいじゃないか！」
二人で揉め合っていると、和泉守兼定がやって来た。
「あまり騒ぐな。主が来るかもしれんぞ」
そう言われて、二人は揉め合うのを止めた。そして、和泉守兼定は視線を燭台切光忠に移す。
「俺も行くからな」
和泉守兼定も行くらしく、合計で4人で行くことになる。

「主を取り戻すのが一番だ。行くぞ」

米花町・堤無津川。
そこに死覇装姿の黒崎一護と朽木ルキアの姿があった。
「珍しいこともあるのだな…」
伝令神機を見て、そう呟いた。空座町から離れた米花町に虚が現れたことに不審を抱いていた。
「虚が出ることはいつものことじゃないのか」
刀を肩に掛けて空から街を見下ろしていた。人が点のように見える。
「そうなのだが……」

ピピピッ

持っていた伝令神機が鳴り、落としそうになった。
「尸・魂界からの連絡だ」
朽木ルキアは連絡を受ける。連絡を受けてから10分後、ようやく通信は途切れた。
「どうなんだよ、ルキア」
暗い顔をしている朽木ルキアを心配そうに言った。顔一つも変えずに、連絡の内容を打ち明ける。

「尸・魂界に戻る。一護は引き続き仕事をしてくれ」

「……分かった」
朽木ルキアは尸・魂界へ急いで向かった。一人残された黒崎一護。
「俺も戻るとするか。虚の気配はしないしな」

同時刻。
女審神者は人の気配がない路地裏にいた。多少の傷があるが、そんなには痛くない。
「私は……今まで……」
“メモリーカード”をポケットから出して、見つめる。驚きのあまり絶句していた。
「君、そこで何をしているのかい？」
通りすがった男性に声を掛けられた。店の袋を持っている為、買い物帰りなのだろう。
「怪我してるじゃないか。治療するから、一緒に来てくれないかな」
女審神者は男性に連れられてやって来たのは探偵事務所の下にある“ポアロ”という店。
「自己紹介が遅れたね、僕は安室透。君の名前聞かせてくれるかな？」
袋に入っている材料を冷蔵庫に入れた後、紅茶を作り出した。
(あの事件を知っているだろうから、攻めてくるかもしれない。詳しいことは警察しか分かっていない筈…)
この立場をどうするか考えながらも、名前を言う。

(藤宮琉奈……！何故、ここに？！)

帰り道を歩いていく途中、ポアロを通りすがったのだ。