漆黒の境界線 act.Ⅰ (ページ17)

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Episode5-1 ページ17

米花町・名探偵事務所。
「お父さん、いつまで寝てるの！」
机に足を掛けている姿にイライラしてきていた。なかなか起きない毛利小五郎に怒りに満ちていく。

ガッ！

椅子を引いて足が勢い良く降りた。その衝撃で毛利小五郎は起きる。
「起きなさいよ、仕事あるんでしょ？」
あくびをしながら体勢を整え、「眠い……」と言っていた。呆れたように毛利蘭はため息をつく。
(僕たち…どうすればいいのかな？)
燭台切光忠と和泉守兼定はこれからのことで悩まされていた。江戸川コナンが調べるくれると分かっていても、心配なのは変わりない。
「他の刀剣と合流しねぇとな……」
(そう…だね……)
顔を見合わせて頷いた。名探偵事務所を後にする前にお礼を言っておく。

「「ありがとうございました」」

急にお礼を言われた毛利蘭は驚いた。その後、名探偵事務所を出て他の刀剣たちを探しに出掛ける。
(あっ…ちょっと……！)

「なぁ、光忠。主が言っていた言葉……」
和泉守兼定はぽつりと呟いた。主が言っていた言葉とはきっとアレだろう。
その“アレ”も燭台切光忠は分かっていた。
「『自分がしてきたことは正しいのが』みたいなことかい？」
和泉守兼定が頷くと、可哀想に見えてきてしまう。その言葉がグサッと心まで和泉守兼定に刺さっていた。
「俺は何をしてきたんだ…俺は……」
(和泉守君……)
そんな姿を見ているとこちらまで心細くなってしまう。

同時刻。
「はぁ……」
藤宮琉奈は指定された部屋にいた。辺りを見渡す限りほとんど黒で統一されていた。どこまで“黒”が好きなのだろうか。
「起きたようね…」
隣にはベルモットの姿があった。壁に寄りかかってこちらを見ている。
(そうだ…私は……)
座ったまま考え込んでいると、ベルモットから「任務よ」と言われた。ベルモットが言う“任務”とは何だろう。
「任務って……」
ベルモットは藤宮琉奈に与えられた任務について語り出した。

その任務というのは“FBI”と“公安”の様子を見計らうこと。そちら側でしていることはなかなか表に出さず、細かい所まで見抜き他の所に情報が行き渡らない様、隠しているとのこと。

「目立った動きを見せないから、中で何かしらしていると考えているそうよ。名前を出さなくても分かるわよね？」
その任務は今日から始まった。下手したら情報が漏れてしまう危険が伴う為、慎重に進めることを心得た。

ガタン…

準備を整えて私は出掛けた。その直後、ベルモットはチラリとその姿を見ていた。
「…行ったか？」
「そのようね……」
ベルモットに手を振って出ていった。