漆黒の境界線 act.Ⅰ (ページ14)

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Episode4-2 ページ14

パソコンを起動させた灰原哀は藤宮琉奈について調べ始めた。カチカチと打つ音が電話越しに聞こえる。

「あったわ……って何これ……！」

目が揺らいで、驚きのあまり絶句しそうになった。パソコンには驚きの事実があったのだ。
『おい、何があった……？』
「藤宮琉奈は3年前の大規模な事件に巻き込まれて死んだことになっているわ…。で、その3年前の大規模な事件というのは調べるにしても大変そうよ」
パソコンに映されたのを阿笠博士も見ていた。灰原哀と同じく動揺が走っている。
『3年前の大規模な事件…それも調べてくれねぇか？俺も調べるよ』
「えぇ…私も調べてみるわ」
そこで通話は途切れた。

「貴方たちも今日はここで泊まっていって」
毛利蘭に言われて、和泉守兼定と燭台切光忠は驚いた。初めての現世で、初めて出会った人に言われたのだから。
「雨の中に放り出すのも可哀想だから、いいよね。お父さん？」
毛利小五郎に聞いてみるが、聞いていない。
「もう、お父さんったら！」

同時刻。
「こ、ここは……」
起きたら既に建物の中にいた。中はほとんど黒で統一されている。
「あら、目覚めたようね」
隣にはベルモットの姿があった。三角のグラスを手にしている。
(そうだ…私は……)
「あ、あんた…生きていたのかい？！」
指を差してキャンティが言った。キャンティには言っていなかったようだ。
「言ってなかったか……？」
冷たい声で言われて、キャンティはぐっとおくばを噛み締めた。
「この女、どうするってのよ？」
ガタンと椅子に座り、足組みをした。
「ちょっと様子見じゃない？キャンティ」
(……………)
キャンティは黙ってしまった。三角のグラスに酒を入れられ、私に差し出した。
「少しは飲みなさいよ」
ベルモットに言われ、飲み始める。くいっと飲むムーンライトにキャンティは驚いた。
「結構飲むのね、そういうの嫌いじゃなくてよ？」
ベルモットはふっと不適な笑みを浮かべた。その後、キャンティが酒を注いできた。「まだ、飲むの？」とベルモットが聞いてくる。
「えっと……」
注いでくれたキャンティに申し訳なく、否定は出来なかった。年上でもあるのもあるが。
「遠慮がちなんだよ、ムーンライト」
さっきまでの印象とは裏腹に酒を注いできたことに私は驚いた。
「じゃあ…もう1回…」
三角のグラスを手に取り、酒を飲んだ。「あんた、よく飲むわね……」とベルモットは呟いた。

「藤宮琉奈のコードネームは“ムーンライト”か……」
盗聴機を通じて内容を聞いていた。だが、有力な情報は得られなかった。