漆黒の境界線 act.Ⅰ (ページ13)

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Episode4-1 ページ13

和泉守兼定と別れた女審神者。何故、あんなことを言ってしまったのかと思うことは1回だけで、今はそうとは思ってなかった。
それから和泉守兼定は燭台切光忠に引き取られる。
「すまねぇな、カッコ悪い所を見せられたな……」
深くため息をついた。主を護れなかったことに悔やんで、手を強く握っていた。そのことに気付いていた燭台切光忠は何も言えなかった。

ガァッ！

スケボーを退く音がして和泉守兼定は顔を上げる。見覚えのある人物でポアロでも会っていた。
「藤宮琉奈さんは何処に？！」
雨に打たれながらも江戸川コナンは構わず、やって来た。「黒い服を着た謎の3人組に連れていかれた」と話すと動揺が走った。
「その話、詳しく聞かせて！」

「あ、あぁ……」

少し躊躇いながらも、和泉守兼定は頷いた。名探偵事務所に案内されて、濡れた服をタオルで拭く。
「初めまして、毛利蘭です。ほら、お父さんも！」
自己紹介するも、毛利小五郎は寝ぼけている。酒の匂いがすることから江戸川コナンは苦笑するしかなかった。
「で、黒い服を着た人といたの？」
急に質問されて、和泉守兼定は「あぁ」と言った。まだ、悔やんでいる所為か顔色はあまり変わっていない。
「主を護れなかった俺が悪い、こんな俺で……！」
拳を握っている姿を見ていた江戸川コナンは口を紡いだ。可哀想で力になりたかったのだ。
「大丈夫だよ、盗聴機付けたから無事ということは分かるから」
そう言うと、少しはホッとした。燭台切光忠も同じくホッと胸を撫で下ろした。
(藤宮琉奈が…奴等の仲間だったのか……？)
腕を組ながら考えていた。まさかとは思っていたが、理由もなしに関連しているとは思えない。何かしら理由があると思っていた。
「電話してみるか……」
携帯電話を起動させて、灰原哀に繋げる。

『工藤くん、こんな夜中に何の用？』

灰原哀は博士の所でゆっくりしていた。阿笠博士は夕食を食べている。
『頼みがあるんだ、至急だ』
「至急？今は暇だから、大丈夫」
その“頼み”という言葉に阿笠博士は反応した。
何事かと立ち上がって灰原哀の所へ向かう。
『藤宮琉奈について調べてほしい』
「初めて聞く名ね…その人がどうしたのよ？」
きちんとメモを取って喋る。阿笠博士も初めて聞く名で首を傾げている。
『その人、黒の組織に関連しているんだ』
「えっ…嘘でしょ……」
動揺が隠しきれずに声が震えてしまう。
『いや、嘘ではない。その人の知り合いから聞いた。目の前で浚われたと』
「分かったわ、今調べる」
パソコンを起動させて、調べ始める。