隣は、零。【ゼロの執行人】 (ページ28)

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Episode26 ページ28

毛利蘭と妃英理は嬉しそうで、鈴木園子に教えようとした。
「ところで、これどうしましょう？羽場二三一を検察官が取り調べた調書なんですけど」
調書を受け取って、妃英理は見てみる。“岩井紗世子”という名前があった。
「スマホの発火で火傷した岩井検事……」
そのことで話していると、橘鏡子がやって来た。
「岩井検事は、妙なことに羽場二三一の窃盗事件がキッカケで出世したんです」
机に置いてある資料を持ち、橘鏡子は顔をしかめた。
「ところで、これは？何故、私や私の元事務員をお調べになっているんですか？」

緑が困っていて、妃英理は代わりに答えた。「先生のこと知っておきたくて、私が栗山さんにお願いしたの」
「…よく調べてある。貴方も優秀な事務員のようね」

コナンは不思議に思い、「貴方も？」と聞き返した。
「まるで、羽場さんもそうだったって言ってるみたいだけど。その人は携帯ゲームを盗もうとして______」
そのまま話すコナンに、橘鏡子の表情がどんどん険しくなった。
「鏡子先生の事務所をつぶした悪い事務員さんだよね？」

「あれは、二三一の所為じゃない！！」

声を荒げた後、ハッとして我に返ると顔を俯かせた。
「私が……無力だったから……」

「“下の名前”で呼ぶんだね……自分の事務所で働いていた事務員さんを、二三一って」

持っていた資料がバサッと落ちる。
「…彼が拘置所でジサツしたことは？」
唐突に聞かれ、妃英理は戸惑いながら頷いた。
「そのジサツは、拘置所の中で公安警察に取り調べされた後、すぐだったんです」
そう聞いて、コナンはあることが頭によぎった。風見刑事が言っていた言葉_____

“去年、拘置所で取り調べ相手を“ジサツ”に追い込んだ……”

(まさか、安室さんが……！？)
コナンが考えている間でも、話は続いていた。
「何で、公安警察が？」
「そんなの聞いたことありません」

二三一のジサツには、奇妙なことが重なっていた_______

それは、裁判官を目指してのこと。終了式の時、無理矢理壇上に上がっていた。
「その行動は、自己満足的な正義感による暴挙と見なされ、裁判官はおろか……」
正直に全てを話した橘鏡子。疑問が残っていて、コナンは橘鏡子に聞く。
「なぜ、羽場さんを事務員にしたの？」

「…人にはね、表と裏があるの。君が見ているのはその一面にしか過ぎない」

そう言って、橘鏡子は視線を変えた。
「外で娘さんから聞きました。毛利さんが不起訴になったのなら私は……“用済み”ですね」
話した後、橘鏡子は荷物をまとめて部屋から去っていった。