３６７話 ページ40
私は、アーサーさんの病室へ来た。
ｺﾝｺﾝと扉を叩き、中に入る。
マシュー「君なら、来てくれると思ってたよ…。」
貴方「ま…マシュー、さっきは＿＿＿。」
マシュー「ごめん」
貴方「え…？」
マシュー「わかってたんだ。Aが僕等と会わなきゃ、こんな苦しい思いはさせなかったのにって…。」
貴方「マシューが謝る事じゃ…」
マシュー「いや…。君も薄々気づいてるんじゃない…？僕が名前を偽ってまで、君の隣に居た理由。」
貴方「そりゃぁ…記憶は戻ってるから…。」
マシュー「君の国には、イヌイットって言う僕の家の先住民がいるよね…。」
貴方「その人達を見に、度々家に来ていたことは知っています。」
マシュー「まぁ、それも理由の１つだったんだけどね…。本当は、君を放っておけなかった。」
貴方「…」
マシューは窓に手を付き、そのまま私に背を向けて話した。
マシュー「僕ね…、小さい頃は控え目で……。フランシスさんやアーサーさんにお世話になってたんだ。
隣の国のインパクトもあったからだけど…中々、積極的に話せなくてさ。」
貴方「…(隣の国…;;;)」
マシュー「その時は世界の事なんてよくわからなかった。
でも、大人になっていくにつれて、周りって自然に見えてくるものでしょ？
……そんなとき、君を見つけた。」
貴方「…」
マシュー「あんな広い真っ白な大地に、独りで居た君を放って置くなんて僕には出来なかった。
でも、話しかけてあげる勇気もなかった…。僕は、子供のままだったんだよ…。
結局、デンマークさんが君を植民地にして、僕は用無し。」
貴方「そっか……。あれは、マシューだったんだね…。」
マシュー「え…？」
貴方「近くに、私と同じ人が居るって時々感じてたの。マシューだったんだね。」
マシュー「Aは…、気づいてくれてたんだ…。」
貴方「確かに、広い雪ばかりの土地だったし、寂しかったけど……、私にはあれで良かったんじゃないかな。
こうして、マシューに出会えたから。」
マシュー「A…」
貴方「えっ…!ま…マシュー!?泣かないで…!?」
マシュー「うんっ…!…嬉しいんだ。」
貴方「私も＿＿＿。」
確かに、後悔は沢山してきた。
でも、今になって歴史を変えることが出来ないのは、
どんな人間より、私達国が一番知ってる。
過去を変える事は不可能だけど、
未来を変える事は、可能なはず。
貴方「私、国になって良かった。」
心からそう思う。
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作者名：暁兔 x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2016年9月18日 22時
