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うわ!ほんとに髪切ったんだ!と驚くテヒョンは気づけば僕の手を引いていた。別にどうとも思わないけれど。ただ少しだけ、この手を引くのがスンチョルだったら良かったのにと残念がるだけ。それを人は未練というのだろう。


「じゃん!A連れてきました!」
「ああ、例の……。」
例の(・・)?」


テヒョンの提案通りに実力テストは他のメンバーさんたちの前でやることになった。パンPDさんはスケジュールの都合で来られないからこれからやる実力テストを撮っておいてくれ、と言っていた。本当に忙しいんだろうけれど、それより僕たちが仲良くできるのか測っているような気もした。


「いいかテヒョンア、人間は猫と同じじゃないんだ。あの人に話が通ってるのも知ってる、だけど……。」


ふんす!と僕を前に押し出して紹介するテヒョンと、彼をなだめる青年。この中で最も背が高い彼は一番理知的に見えた。
ナムジュニヒョン、と呼ばれた彼が困った顔で駄々に対処しているのを見ていれば、キュッキュッキュ、と変わった笑い声が響いた。


「ヒョンはいいと思うよ。実力があっての話だけどさ。」
「だからテストをするんでしょう、どうなるかはこいつ次第です。」


笑い声の主は冷たい物言いをする肌の白い青年にそりゃそうだけどさ……と口を尖らせている。ここに来る前にテヒョンに一番年上のヒョンだと紹介された。自分の顔に著しい自信がある、らしい。


「ヒョン!準備できました!」
「助かるジョングガ。……で、まず踊ってもらうけど……準備は?」
「……ああ、はい。いつでも。」



(さっ)!音楽かけるよー!とやけに明るい声で言われて少しだけこんな後ろめたさもましになる気がした。月末評価のようなものだよ。大丈夫。

動くたびに視界に入ったり汗で首筋にまとわりついていたりした髪を切ったからか、いつもと違う感じがした。違和感、というか。本当に僕は彼の元から去るんだ、というような実感。そのくせ未練がましく目の前に現れるきみの悪いやつ。

曲が終わるまでに足が縺れることも音を外すこともなかった。いつかのオーディションより平坦に終わったはずなのに、どっと疲れる心地がした。


「……お前……、いや、」




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作者名:或日々襾 | 作成日時:2023年2月17日 21時

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