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にこ、と笑うヒョンは寂しそうだった。寂しかったのは僕だけじゃなくてAヒョンもだったんじゃないのかな。
ヒョン。やめないで。一緒にアイドルやろうよ。
嗚咽が喉につかえてその一言が口に出せない。
「Aヒョン……！」
「そんな悲しまないでよ。……ほら、浮腫んじゃうでしょ。」
ごしごし濡れた目元を袖口で拭った。そんな風に拭ったら目に悪いよ、なんて笑われた。ヒョンは少しも目を濡らさないで僕のことを慰める。もしかして、泣けないの？
「あー
「ふは、なあに。」
「僕……絶対デビューして、有名になって、そんで会いに行きます！一番の弟だって言わせてやりますから！」
吹き出すように笑った顔は本当に綺麗で。ああもうこのヒョンってば、どれだけ痕を残せば気が済むの。できれば一緒に活動したかった。一緒に花道を歩きたかった。
Aヒョンが僕の頭を撫でる。
「……ごめんね。憎まれっ子だからさ。」
静かな拒絶だった。さっき塞き止めたはずの涙腺が勝手に緩んでくる。
「……僕はAヒョンのこと、ずっと大好きですから。ヒョンは一生、僕らの
「……
Aヒョンの背は小さかった。もう荷物はまとめてあったのか、一旦宿舎に行くよと言って僕と別れる際、一度こちらを振り返るのが忘れられなかった。今でも夢に出てくる。忘れるな、と言わんばかりに。
「やースングァナ、どこ行ってたんだよ。」
「ちょっとそこまで行ってきただけです。」
「トイレ？」
「違います！」
「はあ？」
ジフニヒョンが怪訝な目をする。僕の目が赤かったのかなんだかわかんないけど、それ以上僕を追及する事はなかった。
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作者名：或日々襾 | 作成日時：2023年2月17日 21時
