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どれだけ噛んでも最近のAは俺を避けてしまうし寂しいのも悲しいのも全然埋まらないし、やりたくてやってるくせして虚しくなって来るんだから本当にバカらしく思える。
上半身だけ起き上がって正面から見たAは少し元気の無さそうな肌色をしていて、きゅっと目を閉じているだけなのに俺の不安感を煽る。目の下の隈はまた酷くなったな。
肩から掛け布団がずり落ちる。幼なじみに馬乗りになって少し興奮してる俺が自分のことながら気持ち悪くなってきた。太ももで挟んだAの腰はこのまま力を込めたら折れてしまいそうだ。
多分俺の本能はAをめちゃくちゃにしてやろうとしてたんだろう。Aの服のボタンを全部開けて、そこまでして惨めになってやめた。さっきもそうだった。
「……なあに。」
何でもない、と言おうとしたのに黙りこんでしまった。今何かを言えば涙腺がぐずぐずになりそうだから。Aの目を手のひらで覆って、それからまた覆い被さるみたいにぴったりくっついて目を閉じた。背に回された手は枯れ木みたいだった。
少し前まで、お前は俺の事だけ見て、俺とだけ関わって生きてきたのに。それだけで十分だったはずなのに。
目覚ましをかけていなかったのに早く起きたらしい、空はまだ薄暗い。夕方に寝たからか少し体内時計が狂ったのかもしれない。久々に深く眠るAの姿が見られてホッとした。
たったこれだけで元気になるはずはないのはわかっている。気休めでも昔みたいに振る舞えている気がして。
この年になって、考えることが増えた。
デビューの事、仲間のこと、Aのこと。
「スンチョラ、もう起きたの。」
「うん。」
「二度寝は？」
いいや、と首を横に振ればそっか、とだけ返ってきた。力無く俺の手を掴まえるからまだ俺のこと好きでいてくれてるのかな、って。昨日の夜出せなかった答えに自分で×をつけておいた。
首筋に唇を寄せて、この狭いベッドでキスをするのも、全部お前とだけで良いんだ。
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作者名：或日々襾 | 作成日時：2023年2月17日 21時
