短刀、企む続々 ページ8
「なにそれ！許せない！」
「顔は覚えてる。行くぞ国広！」
『清光、和泉守お願い落ち着いて。堀川も行こうとしないで。』
唖然とする真冬さんと彼方さんは光忠が部屋に連れて行ってくれ、大分落ち着いた私は事の顛末を清光と和泉守、堀川に話していた。三振りをどうどう、と落ち着かせていると、ドタバタと足音が聞こえた。
「「あるじさま／主君！」」
「ごめんなさい⋯僕達が万屋へ促したばっかりに⋯」
「申し訳ありません⋯お身体は大丈夫ですか？」
五虎退と前田が心配そうに走りよって来てくれた。大丈夫だという意を込めて二振りの頭を撫でる。
『大丈夫だよ。ところで、なんで急に万屋へ促したんだい？』
「「うっ⋯」」
「あー、主。目閉じて？お願い。」
『えっ、うん⋯。』
目を閉じた上から手で目を覆われ、耳も塞がれる。少し怖いが短刀二振りが手を繋いで導いてくれている。
「よし、目を開けて！」
『⋯うわぁ⋯！』
耳に当てられていた手が無くなり、声が聞こえてきた。目に入って来たのは華やかに飾られた広間だった。そこには「ようこそ、お客様！」と「主いつもおつかれさまです！」の文字。
『これ⋯みんなで？』
「そうだよ！短刀達がやりたいって。」
「和泉守が箱落とすから大変だったんだから！」
「だあからあれは俺のせいじゃないって⋯」
「兼さん⋯？」
「⋯悪かったって言ってんだろ！」
「はっはっは！アンタが帰ってくる前に終わらすのは中々骨が折れたな。」
新撰組刀に囲まれていたかと思えば部屋の奥にいたはずの次郎と日本号に背中をバシバシと叩かれる。
「にゃはははは！宴だよ宴！」
「今は短刀が客人を呼びに行ってるから、あんたも座っとけよ。今夜は飲むぞ〜」
『二振りとも、呑みたいだけでしょ！
⋯⋯みんな！』
既に出来上がっている二振りを見送る。そして息を吸い込みみんなに聞こえるように伝える。
『ありがとう！！すっごい嬉しい！』
「「！！」」
みんなからどういたしましての声が聞こえると、短刀達に囲まれる。
「あるじ、僕もがんばったぞ！つよいこだからな！」
『うんうん、謙信は強い子だよ。ありがとう。』
「あるじさま！ぼくもがんばったんですよー！さよとあのかざりをつけたんです！」
「貴方は⋯あの色が好きだから⋯」
『好きな色覚えててくれたの？ありがとう。』
企画してくれた短刀達にお礼を述べていると陸奥守が大声を出した。
「さあ！客人の登場ぜよ！！」
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作者名：もへ | 作成日時：2019年2月11日 15時
