【歌い手】審神者様、お客様がおいでです！【刀剣乱舞】 (ページ7)

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短刀、企む続ページ7

『あ、新作だ。清光が好きそうな赤だな⋯』

「清光⋯？」

『んー、コート着てて口元にホクロがある子。』

ネイル用品の扱いが豊富な店を訪れた私達は、新作の棚を見ていた。彼方さんに清光の説明をすると隣で真冬さんが呟いた。

「好きなの⋯？」

「は！？」

『え、そりゃまあ。初期刀だし、私の相棒だし。』

「「ソウイウイミジャナイ⋯」」

何故か声を揃える二人に首を傾げつつも他の棚のネイルを見る。

中学の頃は年齢を詐称させられやらされていたネイルサロンのバイトも、今はやっていて良かったと思っている。男士とのコミュニケーションのきっかけになるし、良い経験だったとも思える。

そんな事を考えながら見ていたら大分時間が経っていることに気付き、慌てていくつかの商品の会計を済ませた。

「よおねーちゃん⋯この間はどうも⋯！」

『あー、こないだの⋯』

「え、なんか囲まれてる！？」

「ちょっとA、これ誰⋯」

店を出た直後に四人の男に囲まれた。前に万屋に来た時にナンパしてきて、和泉守にボコボコにされたやつらだった。根に持ってたのか⋯。

「今日はあの男と一緒じゃねえみたいだな。その弱そうな男二人は見た事ねえな。⋯お前ら！殺っちまえ！女は生け捕りだ！」

『二人とも、ちょっと動かないでね！』

バチバチ！

ゴポゴポ⋯

“個性”を使い、刀を持っていた二人に雷を落とし、素手で殴りかかってきた二人の顔に水の塊を纏わせる。気を失う者、窒息状態になる者。“個性”を解けば水が弾け、二人は咳き込みヒュー、ヒュー、と息も絶え絶えになっていた。

『もう私達に近づくな。近づいたらどうなるか分かるな？』

ギロリ、といつの日かオールマイトと相澤先生に教わった殺気のこもった睨みを効かせた顔をすれば、男達は地に頭を付けて謝った。

そのまま引き返して足早に去る。見物客が増えてきていたため、早く帰りたかった。それと、震える手を、足を、誰にも見られたくなかった。

「Aカッコイイ！あれが“個性”？」

『そうだよ！上手く使えて良かった〜』

「超能力⋯すごい。」

『ただいまー』

ガラリと本丸の戸を開けると何やら箱を持った光忠。彼は私の顔を見るなり、加州君呼んでくるね、と走って行った。

「⋯主。おいで？」

『きよ、みつ⋯こわ、かった⋯！』

「何があったかは後で聞くから、とりあえず泣きな。」

『うわあああ⋯！』

強がりが、一瞬でバレてしまった。