ノートン4 ページ5
Aside
ぇぇぇえ！？？！？
ウソウソ、そういうことは先に言っといてよ！
ノートンさんが明日でここを出て行っちゃう！？
「ぁぁぁぉぁあ！！」
Aは寝室のベッドの上で枕に顔を突き付けどうしようもないため息を吐く
聞いてみれば彼はずっとそうして鉱山を回ってきたらしい…ってそれはノートンさんとの会話で…
わかってた…でも、
突然過ぎて、、、
「もうすぐ、何か分かりそうな気がするのに…」
……っ！
Aは羽織を持って寝室を飛び出す
そして玄関にあったランプを手に鉱山へと走り出す
「はぁはぁ、う、…」
まだ、まだ鉱山の中は明るかった
「ん？なんだお嬢ちゃんか、アイツならまだ奥に残ってるぞ」
「あ、ありがとう、ございます…！」
古株の鉱夫のおじさんは今から宿舎に戻るところだった
Aは足元に気おつけながら暗い道を歩く
人気が無くなってとても怖い
先程までの作業音が嘘みたいに消えて静かだった
手元のランプ以外の光に辿り着けない
「の、ノートンさん……」
嫌だ、暗い、怖い
不安だ、彼が見つからない
「…っ、」
その場にうずくまった
1人ってこんなに怖いんだ
彼はよく毎晩1番に遅くまで此処に居られるな…
それをずっと繰り返してきた…
とっても素敵なモノのためにって聞いた
お願い、私にもそれを見せて、
貴方が望むものを手にした幸福な顔が見たいの…！
あぁ、やっと分かった
ノートンさんと接してきた日々
ノートンさんと話したこと
全部、全部が今
私に答えをくれた
「A？」
突然、聞きたかった声が聞こえたうずくまる私の前にしゃがんだ彼に抱き着く
「うわ、危ないよっ！」
「……っっ！」
強く強く、あぁ、彼はここに居る私を見つけてくれた
もう怖くない、この腕に抱かれていれば背後の暗闇なんて怖くない
「好き」
溢れだしそうだった言葉がついに溢れた
「好きです…先を行く貴方には迷惑かもしれないけど」
好きです
理由は簡単かもしれない
こうして話すたった1人の男性が彼しか居なかったからかもしれない
彼と離れたくないっていう言い訳かもしれない
簡単かもしれないけれど曖昧だった
「…お願い、私ノートンさんが行っちゃうのやなの…」
ギュッと強められる腕の力
抱きしめられる心地良さを知ってしまった
「…ねぇ…」
ずっと黙っていたノートンさんの声が耳元でした
「は、はい…///」
「…俺は行かなくちゃいけないんだ俺のために」
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作者名：ネコロンダ | 作成日時：2019年10月5日 2時
