ノートンさん(3) ページ4
ノートンside
初めてAと喋ってから何日もたった
「へぇ、ノートンさんは色々な鉱山を？」
「お宝？どんなものなの！？」
「ねぇねぇ、他にはどんな事があったの？？」
さっきからAは俺の話を夢中で聞いて夢中で聞き返してくる
正直、驚いた
好奇心はあるものの踏み出せないヒトって印象だったのに、、、
「…」
Aが急に大人しくなった
かと思うと突然、
「昨日、怒られちゃったんです…」
「え？？」
俺は訳が分からなかった
誰に怒られた？
思い出して、泣くほど怖かったのか？？
「私が、此処に来てばかりで鉱夫さん達の邪魔だって…」
「オジサンにかい？」
「ううん、鉱夫さん…
…どうして怒られちゃったんだろう…
そんなに目障りだったのかなぁ…
もし、そうノートンさんにも思われていたらって、」
「思う訳ないよ！」
俺はAの両肩を掴んだ
Aは目を見開き俺を見た
「大丈夫、思ってないから」
手袋を外していた手でAの涙をぬぐう
すると俺の手首に頭を預けて目を細める
あぁ、彼女に触れたいなぁ
脳裏をかけた思いに驚く
生理的な衝動だ
そうだ
俺も結局はこういった秘密や冒険には手を出してしまいたくなる人間のようだった
それがまた自分でもおかしい
「ノートンさん」
「？」
「今何時ですか？」
どうしてかAは俺の反応を待ってから質問をするのか
俺の話を聞いていた時は俺が息継ぎをする度に口から「不思議！」を飛び出させていたのに
「この時計は4時をさしてるよ」
「え！？どうしよう、もっとお話したいのに…」
ばっと立ち上がりあたふたとしだしたが、すぐにその動きをやめて俺に向きなって
「迷惑じゃなかったですか？」と不安な顔で聞いてくる
「なかったよ」
その一言でAは笑顔になって俺の手を取った
「ありがとうノートンさん」
その微笑みに俺の心が一瞬だけ、一瞬だけ
動いた
「また来ます、その次もその次も！」
「………」
「どうかしました？」
「いや、俺…明日で契約終了なんだよね」
「え？？？？」
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作者名：ネコロンダ | 作成日時：2019年10月5日 2時
