50 大好き ページ50
青キジの声は冷ややかだった。
彼の目が高いところからAを見下ろしてくるような想像を、なぜかしてしまう。
Aは俯いた。
真っ黒に塗りつぶされた空間に、一人ぼっちで立っているような気分だった。
知らぬ間に汗が噴き出てくる。
強い相手に遭遇した時は、自分の能力を隠すなんて、そんな出し惜しみをしていたらきっとやられてしまう。
だから、偉大なる航路に入ってからは特に、赫子を使うことも多い。
隠し通すことができないなら、情報が広まるのは時間の問題だろう。
翼のような赫子を使い、体には治癒能力が備わっている。
これだけの条件がそろえば、青キジだって調べれば自分が喰種だとわかるだろう。
自分の素性が知られることで、お先が真っ暗のように感じるのはなぜだろう。
Aの中で、疑問がわいた。
(…喰種でなにが悪いの？)
自分はそういう風に生まれたのだ。
そのこと自体、自分は何も悪くない。
でも、人を食らう化け物が人に怖がられるのは当たり前だ。
しかし自分だって、以前ように人から村八分にされるのは怖い。
いま頼れるのは、コラソンだけだ。
コラソン。
……コラソン。
彼もオペオペの実をAに食べさせるため、海軍もドフラミンゴたちも敵に回した人間だ。
多くの人と敵対する悲しみは、何度か共有したことがある。
そのたびに彼はその大きな体でAを抱きしめ、「大丈夫だ。俺と生きていこうな」と背中を撫でてくれた。
愛してくれるコラソンに依存している自覚はある。だがこれでいいと思ってしまう。
ゆえにAの甘え癖は、こんな年になってもなかなか治らない。
「…A？ 追手がくるか？」
コラソンが部屋から出てきた。
Aは黙って首を横にふって、コラソンに正面から抱きついた。
「どうした？…今日は甘えん坊だな」
「……うん」
コラソンの胸に顔をうずめると、温もりを感じられる。
鼓動を感じて、生を感じる。
背中に手を回されると、ここにいていいんだと思える。
コラソンの服の下に隠れている傷のことを考えると胸がギュッと痛むが、それでも自分の居場所はここにしかないと、Aは思っている。
(私がいなくなったら、悲しんでくれる人はいるのかな)
故郷を失くし、家族を亡くし、そんな風に思っていた過去も、今はコラソンがいるから、拭い去ることができる。
だから、Aは。
コラソンのドジなところも、不器用なところも、優しいところも、ぜんぶぜんぶ、大好きなのだ。
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ライカ(プロフ) - コメントのレス、ありがとうございます！ (2016年11月19日 20時) (
レス) id: 5fc3e44d27 (このIDを非表示/違反報告)
夏姫 - もぐもんさん» お気に入りありがとう！ (2016年11月13日 19時) (レス) id: c2f2af25dc (このIDを非表示/違反報告)
もぐもん(プロフ) - 夏姫さん» お久しぶりです！温もり１のときはコメントをくださりありがとうございました。さてさて、ただいま夏姫さまの小説を拝読しましたが、ストーリーが私得で楽しかったです(^^)お気に入りしました！続きも楽しみにしております☆ (2016年11月13日 0時) (レス) id: f2e36a5f33 (このIDを非表示/違反報告)
夏姫 - お久しぶりですもしよければ私と他１名のワンピ長編小説を作成しています良ければ読んで頂き評価お気に入りどちらかして頂ければ幸いです。「希望の歌」という小説ですコメなどもよければｗ (2016年11月11日 21時) (レス) id: c2f2af25dc (このIDを非表示/違反報告)
もぐもん(プロフ) - ライカさん» ありがとおおおおございます！！！褒められると頑張る気力になります！こんなのでよければ…！！つ(文才) (2016年10月9日 22時) (レス) id: e4fcf96517 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もぐもん | 作成日時：2016年9月23日 1時
