お隣りさんちのヒョクチェくん4

似合ってない？ ページ29

ﾋｮｸﾁｪ『待った？ごめんな、道が混んでて…』

A『ううん、大丈夫だよ』

まるで恋人同士のような会話に、ときめく気持ちを隠して。
車のドアを開けて、助手席へ乗り込んだ。


ﾋｮｸﾁｪ『なんか食べたいもんある？』

A『んー、なんでもいいよ？』

ﾋｮｸﾁｪ『“なんでもいい”が、一番困るんだけどな(笑)』

A『じゃあ、ヒョクがよく行くお店に行きたい！』

ﾋｮｸﾁｪ『そ？(笑)わかった。ちょっと待ってて』

ﾋｮｸﾁｪ『あ、ヒョン？俺！…うん、そう。これから行きたいんだけど、空いてる？』

運転しながらイヤホンマイクを付けて、お店に電話するヒョク。

行きつけなんだろうな。
お店の人と気兼ねなく話す姿で、その親密さが伝わる。

ﾋｮｸﾁｪ『予約できた♪』

A『ありがと！』

嬉しそうに笑うヒョクにつられて、自然と私も笑顔になる。


ヒョクの車に乗るのは、今日で２回目だな。

前は、再会した日の夜に車で送ってもらったから。
緊張してうまく話せなかったし、なにより車内が薄暗くて。
その表情は見えても、ヒョクの顔はハッキリと見えなかった。

でも今日はまだ外も明るいから、ヒョクの顔がよく見える。


ﾋｮｸﾁｪ『今日さ…A、なんかいつもと違う？』

A『え？なんか変…？』


どうしよう。

このワンピース、私には似合わなかったかな？

それとも、散々迷って決めたこのバッグと靴が合ってなかったとか？

やっぱり違うのにすれば良かった？

なんて、頭をフル回転させてぐるぐる考えていたら。


ﾋｮｸﾁｪ『スカート。似合うな』

A『あ、ありがと……』

服装のことなんて、褒められると思わなかった。
なんだか、気合入れてきたみたいで恥ずかしい……


ﾋｮｸﾁｪ『でも、これ掛けて』

そう言って、自分のジャケットを私に渡した。

前を見て運転するヒョクとは、目が合わない。


やっぱりこの服、変？

デザインが可愛いすぎて、私には似合ってないのかな……？

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