短編集 (ページ5)

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drm | 宝物ページ5

「A〜〜掃除手伝ってくれやん？」

わたしの彼氏はすこぶる掃除が苦手である。滅多に足を踏み入れることのない彼の仕事兼趣味部屋のそこは、気付けばゴミで溢れかえっていて、こうして定期的にお掃除の依頼を受ける。

「相変わらず掃除のしがいがある部屋だね」

「それほどでも〜」

「褒めてないからね」

エヘエヘと茶目っ気たっぷりに笑う彼がどうにも可愛くて、ついつい甘やかしてしまうわたしにも非があるだろう。

大きなゴミ袋を片手に部屋へ入り、明確にゴミだとわかるものを次々と放り込むわたしの横で、もう飽きたのであろう彼が大きな欠伸をする。

「よし、ゴミは大体片付いたから整理しよっか」

目に入るものを一つずつ手に取り、退屈そうな彼に必要なものか不必要なものかの判断を乞う。

「これは」

「あーいらん」

「ん、次これ」

「それもいらん」

淡々と交わされる会話に返ってくる言葉の殆どは、不必要であることを指すものでどんどんと重みを増していく袋。

「これは？」

わたしの手のひらにコロンと収まるちいさなだるま。当然要らないだろうと言葉が返ってくるよりも早く袋へ放り込もうとすると

「それはいる」

「あ、いるの？」

ちいさなだるまは彼にとって必要なものだったらしい。僅かに残される必要なものの箱の中へそっとだるまを座らせた。