_ ページ2
「おつかれー」
リビングのソファでスマホを触る彼を横目にキッチンに向かい水を注ぐ。
「嫉妬、しやんのや」
突然背後からかけられた言葉に驚いて振り向くとすぐ近くに彼が立っていた。
「配信見ないでって言ってるのに」
目の前に置かれたタンブラーに再度視線を戻すと、するりと長い腕がお腹へ伸びてくる。
「お水いれてるから」
「俺は嫉妬するけど、普通に」
わたしの言葉を無視して話し続ける彼は小さなわたしの体をすっぽりと包み込んでいて、耳元で囁かれる声は配信の時よりも低く掠れていた。
かぁっと顔に熱が溜まるのを感じてほら退いて、と少し強引に体を捻れば案外すんなりと離れる体に少しだけ寂しさを感じる。
先程まで彼が座っていたソファへ腰掛けると同じように隣に腰を下ろす彼にSNSでも見ようとスマホへ伸ばした手を取られる。
「俺デレデレやけどなぁ」
何の脈略もなく掛けられる言葉が理解できずに首を傾げる。
「だるまさんが彼女にデレデレじゃないわけないやんな」
「リスナーにも見せたろか、俺がデレデレなとこ」
配信の話してるのか、と脳が理解をした時にはもう鼻と鼻の先がくっつく程すぐ近くに彼の顔があって、言葉を発するよりも先に唇に温かな感触が降ってくる。
恋人という関係性になって、共に生活をするようになって、それなりに経つが甘い雰囲気の彼にはいつまで経っても慣れない。不意打ちのキスに固まってしまったわたしに角度を変えて何度もちゅっちゅと優しいキスが降り注ぐ。
「っ〜〜!ちょっ、と!まって!」
なんとか胸をグッと押し返し、静止を乞う。
「いつまで経っても慣れやんなぁ、か〜わい」
とろけるような優しい笑顔で頭を撫でられ、大きな彼の胸に引き寄せられる。トクトクと聞こえる心臓の音が心地良い。
「Aが可愛すぎるからリスナーには見せれやんわ」
「わたしだけの特権でしょ、甘いだるまくんは」
「当たり前やん。うちの子のこんな可愛いとこも俺だけの」
顔を上げるとぶつかる視線に、どちらからともなく優しいキスをした。
蜂蜜のように蕩けるほど優しくて甘いわたしたちは、2人だけの秘密_____
kzh | ナイショの話→←drm | sweet like honey
144人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:mog | 作成日時:2024年3月19日 20時