お隣りさんちのヒョクチェくん

引っ越し前日の夜 ページ12

段ボール箱が積まれて、ガランとしたヒョクの部屋。
いよいよ引っ越してしまうんだと、実感する。


彼女のこと。
ヒョクに言おうか迷っているうちに、気づけば、引っ越し前日になってしまった。

ヒョクが悲しむ姿は、見たくない。
でも、このままヒョクが騙されてるのも、絶対に嫌だ。


ﾋｮｸ『何だよ〜？俺がいなくなるから、寂しいんだろ？俺って、罪な男だな♪(笑)』

いつもの軽口を叩くヒョク。
人の気も知らないで……


『ヒョクがいなくなっても、全然平気だもん』

ﾋｮｸ『“ヒョクオッパ”、だろ？俺は年上なんだから、敬いなさい！(笑)』

クシャッと頭を撫でられる。


ﾋｮｸ『はぁ……昔は、ヒョクオッパ〜！って俺の後、追いかけてたくせに……あの頃は可愛かったのになぁ』

『“今も”、可愛いの間違いでしょ？』

こんなことしか言えない私。
可愛げない。
明日には、ヒョクはいなくなっちゃうのに……



ヒョクに、言わないと。
悲しい顔は見たくないけど、言わないと。

震える自分の手を、グッと握って。
私は、口を開いた。


『ねぇ、ヒョク』

ﾋｮｸ『だから、オッパだって…！まぁ、いいや、何？』

『あの、ね………私、見ちゃったの』


ﾋｮｸ『ん？何を？』






『ヒョクの彼女………他の男の人と、キス…してた』

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