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家族という言葉がどこか苦手だった
良太郎や姉さんに言われたら悪い気はしなかった
大好きな人達だから、当然といえば当然だけど
A｢(家族……そうだよね、私は…家族)｣
A｢(昔から誰よりも優しい)｣
学校でいつも決まって大人はこう言うの
家族に感謝の気持ちを伝える手紙を書こうとか
家族との思い出を書こうとか
家族について作文を書こうとか
小さい頃の写真を持ってきたり名前の由来を聞いたり
全部全部、口を開けばみんな家族家族って
私にはわからない、何もわからなかった
みんなが口を合わせて家族との思い出を語る度に嫌気がさして涙が出るほど悔しくて、悲しくて、寂しかった
思い出なんて何も無いし名前の由来だって知らない
手を繋いだことだって、抱きしめられたこともない
A｢(嬉しいのに)｣
A｢(ねぇ、謝らないでよ、悲しそうな顔しないで)｣
私のそばにいるのは良太郎と姉さんだけ
世界で1番大事な人達
優しくて、いつもそばにいてくれる
壊しちゃそうで怖くて言えなかったことがひとつだけある
A｢(どうしていつも私より悲しそうな顔をしているの？)｣
何も悪いことは言ってないよ
私も同じだから
家族だって思ってる、でもそれは本当のものじゃなくて
思ってるけれどそれとはまた別の気持ちがあって
A｢(また周りを困らせた、悲しませた)｣
本当に今日という日は嫌いだ
もうわけがわからないの
幸せで嬉しかったはずなのに急に悲しくなって
変な夢だって見るし、なんだか怖い
夢の中で誰かが私にまたねって言っては手を離したの
これがまた現実になったら
大事な人がみんないなくなってしまったらって思うと
寝られなかった
こんなに怖いと思ったのは生まれて初めて
イマジンに狙われたって怖くない
襲われたって痛くなかったでもこれは痛かった
A｢そっか、私はね…良太郎｣
何もなくたっていい
特別なことをしなくていいし、特別な言葉もいらない
プレゼントも、何もいらないから
そばにいられるだけでもう充分
A｢ずっと好き｣
特別でも、何でもない
優しい貴方が私は好き
でも同じじゃなくていい、同じじゃなくていいから
これからも、ずっとこの先で
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作者名：ぽちゃた | 作成日時：2022年4月6日 21時
