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A｢喉乾いた、ラムネ買いに行こうよ｣
迷惑だなんて1度も思ったことはない
迷惑よりもどちらかというと心配の気持ちの方が大きく
一緒にいたいから一緒にいるだけ
それだけなのだから何も謝る必要はどこにもない
A｢……別にさ、こういうのってずっと続くわけじゃないじゃん｣
A｢いつか好きな女の子でも出来ればきっと色々変わるし、こういうのも全部今だけ｣
ラムネを買いに行く道中
突然Aがこんなことを言い出した
分かりやすく言えばこれから先ずっと一緒にいるのかと聞かれたらきっとそうじゃないだろう
だからそこまで申し訳なさを感じなくていい、とAは言いたいのかもしれない
ケーキを作るほどの器用さはあっても
こういう所ではとことん不器用だ
A｢家族でもなんでもないんだから｣
自分でもなんで急にこんなことを言っているのか
わからなかった
せっかく楽しかったのになんだか気分が乗らなくて
あの日、あの夢を見てからというもの
だんだん色んなものがわからなくなって
｢はいラムネ1本ねー｣
A｢ありがとうございます｣
家族でもなんでもない、この言葉で全てを察した
Aの様子がどこか変だったのはそれが関係してるに違いない
良太郎｢(気にしてたんだ、ずっと)｣
良太郎｢(寂しくないなんてそんなの絶対嘘だ)｣
人も星も時間を刻む時計の針も同じ場所にはいられない
少しずつ、少しずつ、変わっていくもの
｢ママ！パパ！お兄ちゃん待ってよー！！｣
｢遅いぞー、ユウナ！｣
｢お兄ちゃんが歩くのはやいんだもん！｣
冷たいラムネが身体中を冷やした
少し先を歩く4人の家族
息が、時間が、止まっているような感覚に陥った
｢来年もまた来れるー？｣
｢あったりまえだろ！｣
｢ほんと！？約束だよお兄ちゃん！絶対！！｣
｢じゃあ指切りげんまん！｣
頑張って隠そうとはした
最初からないなら悲しいとか寂しいとかそんなものは
ないも同然だとばかり思っていた
あの夢を見てからどうしようもない気持ちになる
良太郎｢(本当に寂しくないならそんな顔しないから)｣
手からするりと瓶が落ちる
割れた瓶は二度と同じ形には戻れない
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作者名：ぽちゃた | 作成日時：2022年4月6日 21時
