216: 素直な気持ち［20161222up］ ページ6
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「突然ごめんなさいね？朝ならいると思って…」
朝の挨拶を交わした後に、申し訳なさそうに和子さんは言った。
確かに、連絡も無しに訪ねて来るのは彼女らしくない。
でも…。
昨夜の智の様子に、心配でたまらなくなったんだろうな…。
少し顔を出すだけと自分に言い聞かせて、ウチに来てくれたのが判る。
「や、大丈夫です。あの、…逢いたかったし」
照れくさくて思いのほか小さな声になった俺の言葉に、
彼女は、ぱぁっと表情を明るくして嬉しげに笑った。
胸があったかくなって、少し泣きそうになった。
母さんもこんな風に笑うのかな。
最近の俺は、素直な気持ちを伝えられるようになった。
というか、そう心がけている。
俺の悪い面を見て智の人格が作られたら困るからさ…。
「さとちゃん」
彼女の呼びかけに何故か身を固くする智を、
ぎゅっと抱きしめてから床に下ろす。
…大丈夫、なはずだ。
青い光が消えたあと、智は以前くらいの身長になっていた。
抱きしめたら見た目よりずっと小さな体を感じたので、
何か…、幻覚のようなものを見せているようだ。
「プリンを作ったのよ」
彼女が差し出した大きな保存容器の蓋を開けると、
可愛いカップに入ったプリンが並んでいた。
智の大好物だ。
食べ終わると残念そうにカップを見つめているほどに。
「ありがとうございます…！」
家でゆっくり休んでいて欲しかったなぁ。
「ほらカズママのプリン…」
智の顔を覗き込んだ俺は言葉を飲み込んだ。
彼は小さな口をへの字に結んで、宙を睨みつけている。
な、何でだ？
「具合はどう…？」
「まだちょっと…、…お茶淹れてきますね」
嘘を吐く後ろめたさから逃げるようにキッチンに向かうと、
小さな足音が追いかけてきた。
「さと？」
智は前に回り込んで俺にしがみついた。
「智、…カズママとお話をしてて」
彼をくっ付けたまま振り返ると今度は後ろに隠れ、
前へ押しやると足を突っぱねた。
「す、すいません…」
…どうしてそんな怖い顔すんの？
プリンへの反応の薄さも相俟って、バツが悪い。
「いいのよ。お顔を見られただけで安心したわ」
久しぶりに和子さんに逢って人見知りが出た？
いや、智は元々人見知りはしない。
嘘が後ろめたい？
…彼に嘘は理解できないか。
照れてるのかな…。
昨夜はあれほど彼女を恋しがって泣いたのに。
あ、
…そうか。
泣きそうなんだね？
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のん(プロフ) - はじめまして。ここ数日でここまで読ませていただきました。お話も文章も、とても素敵で心に染み入ります。ご家族の事、ご心労絶えないとは思いますが、ゆっくりでも前を向けますように。mogさんも、潤くんも…。次の更新を心待ちにしています。 (2017年11月27日 13時) (
レス) id: 4c34de8b60 (このIDを非表示/違反報告)
mog(プロフ) - 豆しばさん» 豆しばさん、お返事遅くなりました。優しいお言葉嬉しいです。心から、ありがとうございますと言わせてくださいね。のびのび歌えるさと天使を私も待っています。頑張りますね！ (2017年2月17日 6時) (レス) id: 4a95c6ffde (このIDを非表示/違反報告)
豆しば(プロフ) - mogさん» mogさんお返事ありがとうございます。さと天使に歌わせてあげたい気持ちと、今は歌わないでと願う気持ちと入り乱れて、ふたりの気持ちを思うと切なくて。胸がぎゅうぎゅういってます。どんなにゆっくりでも、いつも楽しみにお話の続きを待っています(^-^) (2017年2月8日 23時) (レス) id: ee15ee3d5e (このIDを非表示/違反報告)
mog(プロフ) - 豆しばさん» 豆しばさんコメントありがとうございます！なかなか進まない物語なのでご心配をおかけしていますね。彼らに寄り添って見守って頂けてとても嬉しいです。ありがとうございます！彼らの間の行き違いがどうなるか、今しばらくお待ちいただくようになります。がんばります！ (2017年2月8日 23時) (レス) id: 4a95c6ffde (このIDを非表示/違反報告)
豆しば(プロフ) - 天使は、じゅんくんは、どうなっちゃうんでしょう？ 心配でなりません。成瀬さんは助けに来てくれないかな？ ふたりまとめて、ぎゅっとしてくるないかな。とか、我が儘なことを思ってしまいます。心配なく、思いきり歌を唄えるようになりますように！ (2017年2月8日 17時) (レス) id: ee15ee3d5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mog
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mog
作成日時：2016年11月22日 17時
