02 ページ3
ロジャー処刑、暫くしてから
この島に海軍と政府の人間達が常駐するようになった。
正義 の文字を背中に掲げて歩く海軍の人間。
何事かと、島民達は訝しげにその様子を見る。
この島でロジャーの海賊らしからぬ行動が
目撃されているという。
それはまるで父親のようだったと。
「ロジャーの時代は終わったんだ。
その血は根絶やしにせねばならん。」
ロジャー投獄から10ヶ月以内に生まれる赤子と、
身籠っている母親さえも全て調べ上げられた。
罪のない女性も、無理矢理連れて行かれた。
そんな日が何日も続いた。
「疑わしき母親は、殺せ」
これが正義なのだろうか。
翌日も海軍がバタバタと走り回る町中。
ルージュはその様子を一瞬見た後
娘を抱き、前だけを向いて海兵の横を通り過ぎる。
日が暮れて、風に吹かれながら海を眺めるルージュ。
海軍の軍艦が停泊してあるのが見えた。
家の前では、しゃがんで風車を持って
楽しそうに遊ぶルシェの姿。
ルージュは少し膨らんだ自身のお腹をさすった。
その日からルージュは
ロッキングチェアに座って過ごすことが多くなった。
キィ…キィ…と
規則的に聞こえる木の音。
ルージュの目の先にはお布団で
スヤスヤと眠るルシェ
カーテンも全て閉めて、
ルシェの世話をするとき以外は
ただただ、座って過ごした。
ルージュがそうしている間も、
海軍は動き続けていた。
1ヶ月、また１ヶ月と時は進んでいった。
「まだよ…まだ…」
お腹をさするルージュ。
「まだよ…まだ生まれてきてはだめ…
まだ…」
来る日も来る日も、お腹に宿る小さな灯火に語りかける。
床に膝をついてしゃがみこみ、
テーブルに肘をつくルージュ。
「ごめんね」
蝋燭の明かりだけの暗い室内。
先ほどまで寝ていたが、泣き出してしまうルシェ。
ルージュは慌てて抱き上げ、ぎゅっと抱きしめる。
「ルシェ…ごめんね
我慢させて、ごめんね…ルシェ…」
ルージュは苦しそうに言い続け、
ルシェは安心したかのようにまた眠りについた。
「まだよ…まだ、まだ…」
海軍がこの島を去るまでは、
「まだ…」
雨の日も、風の日も、
ルージュは語り続けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1048人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
莉亜(プロフ) - 続きはもうないんですかね？ (2021年4月3日 16時) (
レス) id: f021d660fc (このIDを非表示/違反報告)
紅葉=パラディナイト - あずきさん、良かったら私と友達になりません？ (2020年8月17日 20時) (レス) id: 878cd47afb (このIDを非表示/違反報告)
白玉あずき(プロフ) - ユウさん» 返信遅くなりすみません……！！嬉しすぎるお言葉です…！！本当にありがとうございます！！更新は不定期ですが、早く鯖とルフィに合わせられるよう頑張ります！これからもよろしくお願いいたします…！！ (2020年4月10日 23時) (レス) id: 7cdb629dee (このIDを非表示/違反報告)
白玉あずき(プロフ) - 南沢紅葉さん» 返信遅くなりすみません…！！自由奔放なガープにツッコむのは自然とダダンになってます笑ツッコミといえば新八ですね……！！それすごく嬉しいです！！更新は不定期ですが、これからもよろしくお願いいたします…！！ (2020年4月10日 23時) (レス) id: 7cdb629dee (このIDを非表示/違反報告)
白玉あずき(プロフ) - ゆくさん» ゆくさん、ありがとうございます！コメント本当に嬉しい……！！！更新頑張りますので…！今後も見ていただけたら嬉しいです…！！！！ (2020年2月12日 13時) (レス) id: 7cdb629dee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白玉あずき | 作成日時：2019年9月12日 23時
