𝐒𝐭𝐨𝐫𝐲 18 ページ18
これで大物狙いなよと、チィオはもう一度魚を加えてぽとりとシャチの手の上に落とせば、いいのか！？とシャチはパァァと顔を輝かす。
私ももうちょっと大きいの狙ってみる！と、そいやっと“コウテイペンギン”へと姿を変えれば、ズザザザザと横からとんでもない勢いでスライディングしてくる人影が迫ってきて、チィオは押し倒された。
｢おあぁぁ！何っ！？ローさんまた！？｣
バフッと腹に顔を埋められスーハースーハーと吸われる。
｢…濡れてるし磯クセェな｣
｢さっき私が海に潜ってたの見てたでしょ？｣
そう言ってもちもちと腹を揉まれたあと解放される。
イケメンが台無しすぎてちょっと泣きたくなった。
それじゃあ行ってきます！とチィオはまた海へと飛び込んでいき、今度は結構長く潜っていた。
ただいま！と戻ってきたチィオの嘴には、先程よりも大きな魚が捕えられている。
これ、そのままお刺身で食べると美味しいやつ！と嬉しそうにはしゃぐチィオの姿を見て、ペンギンはキュンとしてもちもちしたい衝動に駆られたが、もう一回行ってくるね！とチィオはまた海へと飛び込んでしまい、伸ばした行き場のない手をそっと下ろした…。
｢お、やっと掛かった！｣
そう言うシャチの竿が、勢いよくしなる。
これ結構な大物だぞ！とテンションを上げるシャチは、思いっきり竿を引き上げた。
｢よっしゃあああ！釣れた！…て、お前かよっ！！！｣
｢痛ーい！ごめえぇぇんシャチ！間違えたぁぁ！！｣
大きな影が見えて、よっしゃあああと思ったのに、ボトリと甲板に落ちたのはチィオでシャチはめちゃくちゃ落ち込んだ。
痛い痛いとのたうち回るチィオの嘴に引っ掛かった釣り針は、ペンギンが優しく取ってやる。
ありがとう！と言って、チィオはまた海へと飛び込んだ。
｢うわーん！ぺんぺん！ぺんぺんっ、助けてー！！｣
しばらくしてそう叫び声が聞こえてきてペンギンが慌てて海面を見下ろすと、そこには顔に何かが張り付いてバタバタともがいているチィオの姿があった。
慌てて倉庫に駆け込み網を持ってくると、小さくなって！と叫び、ポンッと“コガタペンギン”へと姿を変えたチィオを掬ってやる。
｢怖かったよ、ありがとー！｣
そう言ってペンギンの胸にチィオが張り付く。
足元でうねうね蠢いているものは、タコだった。
その日の夕飯は、とても豪華な海鮮料理となった…。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 732人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もふもふ子(プロフ) - 李空さん» pixivの方で読んで下さったのですね！こちらにも訪れてくださりありがとうございます♪面白いと言っていただけてとても嬉しいです(*^^*) (2023年2月6日 23時) (
レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
李空(プロフ) - pixivで読んだけど面白い (2023年2月6日 4時) (レス) @page3 id: 36ef557338 (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - つばめさん» もっともっと見ていたいと思って頂けてとても嬉しいです！夢主さんがまだ人の姿に戻れていませんので、まだお話は続きます！この先どうお話を書いていこうか今ちょっと詰まっているので、気長に更新をお待ちいただけると幸いですm(*_ _)m (2023年1月27日 0時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
つばめ - まだ更新有りますか？ もっともっと見ていたいです (2023年1月25日 23時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - にゃーちゃんさん» ありがとうございます！とても嬉しいです♪のろのろ更新ですが、頑張って書いていきますね(*^^*) (2023年1月20日 19時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もふもふ子 | 作成日時：2022年11月3日 16時
