ペンギンさんに、よしよしされたいだけの話 番外編【ONEPIECE】

❥❥❥ ページ23

｢っベルーガ！？｣
｢ぺんぎ…さっ｣

ガチャリと扉が開き、慌てたペンギンさんの声が上がる。
手に持っていた物を勢いよく机に置き、倒れ込んだ私の身体を優しく抱き起こしてくれた。
きゅっと弱々しくペンギンさんの胸元を握れば、どうしたんだと髪を梳いてくれる。

｢ベルーガ、言って。何でも言って、何でも教えてと、前に言っただろう？｣

聞かせて…と、今だ涙が溢れる目元を唇で優しく拭われる。

｢寂しいっ。置いて、行かないで。そばに…いて欲しいっ…｣

独りは嫌だ…怖いと縋りつけば、そっか、おれを追いかけて来ようとしたのかと、戻るのが遅くなってごめん、もう大丈夫だと顔中にキスの雨が降ってきた。
最後に唇にちうっと吸いつかれて、ベッドへと戻される。

｢ごめんな、薬飲んでもらいたいからコレ作ってて遅くなった｣

そう言ってベッドそそばにあるサイドテーブルにトレーが置かれ、そこにはこの船に来た頃に食べさせてもらった、卵粥があった。
一匙救ってふーふーと息を吹きかけ冷まし口元に運ばれ、されるがままに口を開いて食べれば、ふわりと優しい味が広がる。

ど？と聞かれて美味しいと微笑めば、ペンギンさんの口元はよかったと弧を描く。
食欲はあり、最後まで食べさせてもらって薬を手渡され、薬を口に含んでコップを支えて貰いながら水で流し込めば、広がる苦味にベッと舌を出す。

｢良薬口に苦しだ…って、これ前も言ったな｣

クスクスと笑うペンギンさんに顔を近付けてキスを強請れば、何も言わなくても彼は察してくれてふんわりと口付けが落とされる。
嬉しくてペンギンさんの唇を食めば、はむりと食み返されて心が温まった。


腹が満たされて目がとろんとしてくるが、眠りたくない。
眠気と格闘していると、ペンギンさんの手の指が自分の指と絡んで温かなぬくもりに安堵する。
ちらりとペンギンさんを見れば、彼は苦笑していた。

｢ちゃんとそばに居るから、眠って｣

大丈夫だと言って大きな手で目元を覆われれば、あっという間に意識は沈んでいった。



どれだけ時間が経ったか分からないけれど、ふと目を覚ませば眠りに落ちる前に繋がれていた手はまだ繋がっていて、目の前にはペンギンさんがいる。
安堵して、嬉しくて、ほろりと流れた涙が妖精の涙へと変わる。
それを見たペンギンさんが、また増えたなぁとコロコロとシーツに転がる宝石を拾っていた。

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