❥❥❥ ページ21
全て片付け終えて、ふらりと椅子に腰掛ける。
少し熱が上がってきたかもしれない…。
ちょっとだけ休もうと、テーブルに突っ伏した。
ぴとり…と、何か冷たいものが額に触れる感覚がして、瞼を持ち上げる。
確か私は食堂で休んでいたはずだ…。
一番初めに目に飛び込んできたのは天井で、いつの間にか自分の身体が横たわっていることに気付き、バッと身を起こした。
くらりと、目が回る。
｢っあ…キャプテン｣
｢その熱、いつからだ？｣
｢…あの…えっと、昨日の夜中に悪寒がしてて、朝起きたら少し…｣
顔に出ないタイプか…とローさんが呟く。
やっぱり、食堂で見つめられていたのは私の体調を探っていたのか…。
｢なんで言わなかった｣
｢これくらい平気だと…。慣れっこですし、迷惑掛けたくありません｣
人身売買の船では、これが当たり前だった。
そう言えば、今はそうじゃないと、言わない方が迷惑掛かる事がある、覚えておけとローさんが言う。
みな心配している。
特に、呼びかけても意識がないとお前を見つけたペンギンはかなり取り乱していた、謝っておけよと、わしわしと頭を撫でられた。
｢ペンギンを呼んでくるから待ってろ｣
後のお前の看病はペンギンに任せる、そう言ってローさんは立ち上がり背を向ける。
｢キャプテンッ｣
去っていく姿に、また心の奥がツンとして思わず呼び止めてしまった。
行かないで、寂しい。
人身売買の船に乗っていた頃はそんな事思わなかったのに、何故かそんな気持ちがぶわりと胸を渦巻く。
｢何だ？｣
｢いえ、その…何でもないです…｣
ゆらゆらと揺れる私の瞳を見透かされているのか、すぐ呼んでくる、そう言ってローさんは今度は柔く頭を撫でた。
ローさんが部屋を出ていけば、途端にシンとする室内にぶわっと空虚感に襲われる。
寂しい…心細い…おねがい、早く来て…。
ギュッと毛布を握り、立てた膝に顔を埋める。
カッと熱を持ちくらくらする頭は、それしか思うことが出来なかった。
早く…ペンギンさん…。
ギュッて抱きしめて、大丈夫だって言って頭を撫でて欲しい。
そう思って、自分の身体を抱きしめた。
ほんの少し時間が経って、バンッ！と勢いよくこの部屋…医療室の扉が、開かれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 379人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もふもふ子(プロフ) - モノクロさん» すみません！コメント見落としていました( ;´꒳`;)リクエストありがとうございます！頑張って書きますので、待っていてくださいね♪私のお話でもっとペンギンを好きになってもらえたら嬉しいです！ぜひ結婚を前提にお付き合い下さい( *´꒳` ) (2023年1月20日 19時) (
レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
モノクロ - 初コメお邪魔します。リクです。ベルーガちゃんと、ペンギンの共闘かペンギンをベルーガが庇って怪我しちゃう的なヤツ書いてほしいです。作者様の書くペンギンかっこよすぎです。結婚前提に付き合ってください。 (2023年1月3日 19時) (レス) id: 668dfd3812 (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - ライキさん» 喜んで頂けてよかったです(*^^*)リクエストありがとうございました！書いていてとても楽しかったです♪またお話を更新した歳はぜひ覗きに来てくださいっ (2022年11月19日 11時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
ライキ - うわぁぁぁぁぁぁぁありがとうございます！！！！すごくすごいです！！語彙力がなくて申し訳ないんですけど…もうほんとに！！かわいいです！、ありがとうございます！ 理想以上すぎて！ありがとうございます！ずっと応援させてもらいます！！！ (2022年11月18日 18時) (レス) id: c3cdfe919e (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - 防弾チョッキ（初心者）さん» そう言って頂けて嬉しいです！ホッとしました( ´▿` )リクエストありがとうございました！また更新した際は、ぜひ覗きに来てください♪ (2022年11月10日 18時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もふもふ子 | 作成日時：2022年10月26日 20時
