ペンギンさんに、よしよしされたいだけの話 【ONEPIECE】

笑って笑って 21 ページ22

｢今まで一つも出さなかったというのに、何故だっ｣

ギッとこちらを睨んでくる目が怖くて肩を跳ね上げれば、ペンギンさんが私の姿を隠すようにそっと前に立ってくれ、その背に縋りついてしまった。

飯を食べさせてやっただけだが？そう言って鼻で笑うローさんに、おれだって飯をやったし、組み敷いて気持ちよくだってしてやっただろう、何が違うと男は怒鳴り、それを聞いたローさんたちの殺気がぶわりと増した。

宝石を出すのなら、益々手放したくねぇなと言って男がサッと手を上げれば、後ろに控えていた者たちが一斉に銃を構えた。
それは、ダメっ！
慌ててペンギンさんたちの前に出て両手を広げる。

｢お願いやめてっ。それは、痛い…しんじゃう｣

アレに撃たれるのは、痛い。
撃たれて死んでしまった人もそばで見たことがある。
そんなものをこの人たちが受けるのは、嫌っ。

｢こらベルーガ前に出るなっ｣

ぐっと腕を引っ張られてペンギンさんの腕に閉じ込められる。
駄目なのと暴れても、ビクともしなかった。

その様子を見て、えらく大事にされてるようだなぁ、どう媚びを売ったと男が言い、パチリと指を鳴らす音がした。
あ、嫌だ、その音は…嫌っ。
頭がぼんやりとしてきて、身体が言うことを聞かなくなる。

急に大人しくなった私をペンギンさんが訝しげに見下ろし、こっちに戻ってこいと言う言葉と共に指を鳴らす音がして、思い切りペンギンさんの腕に噛み付いた。
なっと驚いて怯んだ隙を狙って腕から抜け出し、私の脚は飼われていた男の元へと駆け出した。

ガッと顔を掴まれて、お帰りと言って男はニタリと笑い、背が粟立つ。
また、戻ってきてしまった…。
跪けと言われパチリと指が鳴り、自分の意思に反して男の足下に身体がへたり込んだ。

なんだ…？とローは思い、あの指の音のせいか？とローは睨んで、能力を展開させ男の手首を切り落とした。

ぼとりと落ちてきた手に悲鳴を上げそうになったが、血が一切出ずに転がるそれをボーッと眺め、ローさんの能力だとぼんやり思う。
頭上では、それを知らぬ男がひいひい悲鳴を上げていた。

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