笑って笑って 1 ページ1
海岸へと歩いていく三人の後を追う。
本当はこんな事せずに逃げてしまいまいが、怖くて出来ない。
そっと首に嵌められた首輪のようなものに手を当て、身震いする。
そんなことをしてはコレが作動してしまう…。
ギュッと胸に抱いた短剣を握りしめ、靴のない足でひたひたとついて行く。
もう少し、人気がなくなってから…。
海岸へと着けば、そこには黄色の大きな船があった。
岩陰に隠れて三者三様の帽子をかぶった人達の様子を覗う。
もしかしてこの人達は海賊？
ならば、更に自分が生きて帰れる確立なんてゼロなんじゃないのだろうか。
自分を飼っていた男たちはきっと知っててやってこいと言ったのだ。
酷い…。
船へと乗り込んでしまえば、もう目的が達成出来なくなる。
でも、無関係な人を切り裂くだなんて、できない。
そうよ、そんなことしなくたって、自分が…。
刃物を持たせてもらったんだもの、チャンスじゃない。
くるりと刃の向きを変えて、切っ先を胸に当てる。
あとはこれを押し込めば…そうグッと手に力を入れたときだった。
｢あれ？おれらを狙ってたんじゃないの？｣
そう声が聞こえそちらに顔向ければ、後を追っていた三人がこちらを見下ろしていた。
ヒュっと、喉が引き攣る。
自分の拙い尾行など、とうにバレていたのだ。
手に持っていた短剣を蹴り上げられ、切っ先が刺さるように砂の上に静かに落ちる。
気配など全くしなかったことに戸惑って、あっ…あ、と言葉にならない声しか発せない自分を上から下まで眺めたあと、彼らの顔は歪む。
後をつけていたのがきっと、ボロを纏った女だとは思わなかったのだろう。
｢誰を殺るつもりだった？｣
｢や、殺るつもりはありませんでした。誰でもいいから刺してこいと…｣
｢それを言ったヤツの名は？｣
｢わかりませんっ。人身売買をしている船の人です｣
怖い怖い怖い。
もこもこの帽子を被った人のひやりとした空気に、鋭い目と大きな背も相まって、威圧感が凄い。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 671人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もふもふ子(プロフ) - あっくすさん» はい、そうです！せっかく頑張って書いた文章が突然パーン！と消えてしまっては悲しいので、あちらにも掲載して避難させてもらってます。パクリなどではございませんので、ご安心くださいませ。 (2022年12月4日 23時) (
レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
あっくす(プロフ) - コメント失礼します！pixivの方で同じ内容の小説を拝見したのですが製作者は同じ方ですか？ (2022年12月4日 21時) (レス) @page1 id: 074a6f3059 (このIDを非表示/違反報告)
となりの渉。(プロフ) - もふもふ子さん» ﾜｧ...長文感想ありがとうございます！！！イラスト気に入ってもらえてよかったです(*^^*)ベルーガちゃんの新しい情報（？）とか出たらまたFAイラスト描かせていただきますね！！！ヾ(*´∀｀*)ﾉ゛ｷｬｯｷｬｯ (2022年11月28日 4時) (レス) id: 8e6d99468c (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - となりの渉。さん» 私が被りたいくらい…。欲しい…。本当に素敵なイラストをありがとうございました！まだこちらも随時更新していく予定です。ぜひ更新した際は読みに来ていただけると嬉しいです♪ (2022年11月28日 2時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - となりの渉。さん» 文字数足りない…。しかもハートの海賊団に入る前のベルーガちゃんまで！ボロボロ…痛々しい…。とても素敵な絵をありがとうございます！自分の書いたお話の夢主さんがイラストになるだなんて嬉しすぎます(*´艸`)あと帽子ですよ帽子！なんだあの可愛い帽子はっ！！ (2022年11月28日 2時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もふもふ子 | 作成日時：2022年10月14日 3時
