雛鳥の足跡…82こ ページ36
ならば…と籠の中からお札を集め、これは演奏を楽しませてもらった私からの投げ銭だと男へと突き出す。
それに男はきょとんとしたかと思えば、そうかそうかと豪快に笑って受け取り、じゃあこれは俺たちから綺麗な舞を見せてもらった嬢ちゃんへの投げ銭だと半分ほど籠へと入れられて、なんだかそのやり取りが可笑しくてお互い笑い合った。
少し他愛ない話をしていれば、演者の中の一人の青年がずいっと出てきた。
「ね、よかったら一緒に昼メシ食わない?」
そう言われ、キュッと手を握られる。
一応一国の王女であったのでこんな強引な誘いはされた事がなく困惑して、えっと…と言いあぐねていれば、ね?ね?とさらに顔が近づき距離が詰まり、少し怖くて身を引いた。
「すまねェな。コイツには先約があるんだよい」
聞き慣れた声が聞こえたと思えば、そっと腹に腕が回って引き寄せられ、トンっと背にぶつかるのは逞しい胸板。
見上げればやはりマルコで、Aの顔はホッと緩んだ。
体格のいいマルコに青年は少し怯み、そ、そっかーと離れていき、悪ぃね、それじゃあとマルコはAの腰を抱いて東の広場を後にする。
後ろで、俺たちあと一週間はいるからまた舞に来てくれよ!と声が掛かり、Aは顔を振り向かせてぺこりと頭を下げた。
「すみません、助かりました」
「はっきり断ってやんねぇと、男は期待しちまうよい」
シュンとするAのこめかみへとマルコは口付け、しかし凄いことになったねぃ…とAが持つ投げ銭が入った籠を、重たいだろうとひょいと奪い取る。
「もしかしてマルコ、見てました?」
「あぁ、綺麗な舞だったな」
ぽふっと、Aの顔が赤くなる。
「何で恥ずかしがるんだよい」
「いえ、そういう姿は見せたことがなかったので何となく…」
そんな恥じらうAの姿が可愛らしく、マルコは今度は髪へと口付けた。
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もふもふ子(プロフ) - ミクリさん» いえ、とんでもない!くっつく時を楽しみにしててください(*^^*) 本当に!マルコさんはどんなデートをしてくれるんでしょうかね。しっかりと計画する派か、その時の気分で行く所を決める派か…うん、マルコならどっちでもよい(*´艸`) (2023年3月1日 14時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
ミクリ - もふもふ子さん» ちゃんとした恋人になるストーリーは決まってたんですね!失礼いたしました(汗その時が楽しみです♪マルコとデート本当にしてみたい…w (2023年2月28日 18時) (レス) id: dfbdb02535 (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - ミクリさん» もう恋人のような関係ですが、本当に恋人になるタイミングは一応考えてあるんです〜( ^ω^)デートですねっ。じゃあ考えていたお話にプラスして考えてみます(˶'ᵕ'˶ )︎ (2023年2月28日 7時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
ミクリ - もふもふ子さん» クリスマスと内容が被ってしまうのでしたらいっその事どこかの島でバレンタインデートしちゃってください!!wなんならその番外編デートで恋人になっちゃっても良いですよ(/ω\)既に恋人のようないちゃラブ具合ですが…w (2023年2月26日 18時) (レス) id: dfbdb02535 (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - いつもコメント下さりありがとうございます!番外編ばかりで申し訳ないです。バレンタインのお話はクリスマスに書いたお話と似てるな…と思ってやめちゃったんです( ᐛ )似ててもいい!ともし需要がおありでしたら、大遅刻ですが書かせて頂きます(*^^*) (2023年2月24日 20時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もふもふ子 | 作成日時:2022年9月27日 23時