雛鳥の足跡…79こ ページ32
前の島で片方ずつ置いてきたものを補うようなそっくりなソレに、手がふるふると震えてくる。
マルコが短くなった髪で隠れている耳を出すように、Aの髪をそっと梳く。
箱からピアスを取り、寂しくなっていた耳へとそれを付けてやった。
ブレスレットもすっと腕に嵌めてやる。
また両側で輝く耳と腕に、うんとマルコは満足した。
｢これで許せ、娘よ｣
ボロボロと涙が零れてきた。
ちゃんと白ひげは自分の事を考えてくれていたのだ。
｢ごめんなさい親父様。私の事を想ってくれていたのに、酷いこと言っちゃった｣
｢構わん。ちゃんと言葉にしなかったおれが悪ぃんだ｣
わんわんと泣けば、白ひげの少し狼狽えた気配がする。
大きな肩口へと顔を埋めれば、優しく頭を撫でてくれた。
そしてそのままそっと氣を流し込んでいく。
｢ごめんなさい。苦しかったでしょう？｣
怒鳴って白ひげの部屋を飛び出してから数日、顔を合わせずらくて白ひげに氣を送ることをしていなくて、少し氣の滞りが出来ていた。
ずっと一緒に居たいからやらせてくれと頼み込んだのは自分だというのに、最低だとAは項垂れる。
お前のせいではない、気にするなと言う白ひげに、止まりかけていた涙がまたじわじわと浮かんできた。
親子も時には喧嘩をするものだと、大きな心で包み込んでくれた。
｢素敵なものをありがとう。大好きよ、親父様っ｣
そう言ってそっと一つ大きな頬に口付けを贈る。
｢ああ。おれも愛してるぞ、A｣
グラララと、本当に嬉しそうな声色で笑う白ひげと目が合って微笑みあった。
定期検査の時間だと街から戻ってきたナースと入れ替わるように、マルコとAは白ひげの部屋を後にする。
｢親父も粋なことするねい｣
新たにきらりと光る物が揺れるAの耳を、スリっと撫でた。
前の島を発って以来、お前になんだか物足りなさを感じていたのはこれだったのかと、撫でた耳へと口付ける。
やはり赤が似合うなと言えば、Aは嬉しそうにふんわりと笑った。
自分も毎日鏡を見る度、ちょっと物足りなさを感じていたとAは言った。
また新たに大事な宝物が出来てしまったと耳に触れ、手首を見やる。
｢親父様は本当に素敵な人ね…｣
そっとマルコに抱きつけば、そうさ、親父は最高なんだよいと柔く笑って、マルコはAの頭を撫でた…。
※ここまでお読み頂きありがとうございます※→←雛鳥の足跡…78こ
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もふもふ子(プロフ) - ミクリさん» いえ、とんでもない！くっつく時を楽しみにしててください(*^^*) 本当に！マルコさんはどんなデートをしてくれるんでしょうかね。しっかりと計画する派か、その時の気分で行く所を決める派か…うん、マルコならどっちでもよい(*´艸`) (2023年3月1日 14時) (
レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
ミクリ - もふもふ子さん» ちゃんとした恋人になるストーリーは決まってたんですね！失礼いたしました（汗その時が楽しみです♪マルコとデート本当にしてみたい…ｗ (2023年2月28日 18時) (レス) id: dfbdb02535 (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - ミクリさん» もう恋人のような関係ですが、本当に恋人になるタイミングは一応考えてあるんです〜( ^ω^)デートですねっ。じゃあ考えていたお話にプラスして考えてみます(˶'ᵕ'˶ )︎ (2023年2月28日 7時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
ミクリ - もふもふ子さん» クリスマスと内容が被ってしまうのでしたらいっその事どこかの島でバレンタインデートしちゃってください！！ｗなんならその番外編デートで恋人になっちゃっても良いですよ(/ω＼)既に恋人のようないちゃラブ具合ですが…ｗ (2023年2月26日 18時) (レス) id: dfbdb02535 (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - いつもコメント下さりありがとうございます！番外編ばかりで申し訳ないです。バレンタインのお話はクリスマスに書いたお話と似てるな…と思ってやめちゃったんです( ᐛ )似ててもいい！ともし需要がおありでしたら、大遅刻ですが書かせて頂きます(*^^*) (2023年2月24日 20時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もふもふ子 | 作成日時：2022年9月27日 23時
