雛鳥の足跡…45こ ページ46
ベッドに座り、自身の膝の上へ向かい合うように座らせ、かたかたと震える身体をそっと胸に抱き込んだ。
マルコに抱き上げてもらっていた時は本当に大丈夫だったとAは言う。
マルコが出て行って部屋に一人となった途端、気持ち悪さと恐怖が蘇ってしまい、綺麗に流しても擦っても擦ってもあの男の感覚が消えないのだと、静かに泣いた。
グッとマルコは唇を噛み締めた。
サッチが言っていたのはこれかと、心内で頭を抱える。
Aを部屋に押し込んだ後、やはり自分の手で葬り去らねば気が済まないと、襲われていた場所へと戻ればサッチがなんで戻ってきたと驚きの声を上げた。
そばにいてやらなきゃいけないだろうと怒られたのは、こういう事だったのか。
戻らずそばにいてやれば、新たに傷を作ることはなかったのだと、先ほど見た掻き毟って血が滲んでいた胸元を思い出し、すまねぇと呟いてAをよりギュッと抱きしめた。
しばらくそうしていたが、視界に入る首筋の赤に、痕を付けた奴に苛立ちと憎しみが湧き、その痕に唇を寄せ上書きをするかのように、キツく吸い上げた…。
ビクリと跳ね上がった肩に、しまったと、自分の感情に触発され思わずやってしまったことを悔いる。
更に怖がらせてしまったかと顔を覗き込めば、その瞳には恐怖の色はなく、こちらをじっと見つめ返してきた。
変わりに何かを訴えられているような気がして、首筋の他の痕にも唇を寄せて吸い付いていけば、Aの身体の震えが緩んでくる。
Aが無意識に自分の喉元に爪を立て掻き毟ろうとする手を取って、そこに残る痕にも唇を寄せ、何も言わずAはそれを受け入れ次第に身体の震えは収まった。
そっと喉元から唇を離し顔を覗き込めば、まだはらはらと溢れる涙。
その目元をそっと指で拭えば、ふわりと顔が綻んだ。
そんな顔に胸が締め付けられ、しばらくまた抱きしめていれば、マルコさんと少し震える声で名を呼ばれた。
なんだと返事を返せば、そろりと自身の胸元に手を当てそのまま動かなくなった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 798人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もふもふ子(プロフ) - 如月さん» ありがとうございます(*ˊ˘ˋ*) (2022年10月6日 22時) (
レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - もふもふ子さん» かわいいから問題無しです！！ (2022年10月6日 19時) (レス) id: 4efb850e8a (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - 如月さん» 幼女な夢主さんが好きで来られた方々には紛らわしい題名ですよね…申し訳ないです… (2022年10月6日 13時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - 雛鳥って書いてあるから子供かな？って思ったけど成人してたわ (2022年10月6日 12時) (レス) @page7 id: 4efb850e8a (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - thmrt1214さん» ありがとうございます！このお話でマルコさんをもっと好きになって頂けて大変光栄です！続編は大人のお話を入れ込んでいきますので、未成年の方は閲覧できないように設定している、ということでごさいます。 (2022年9月27日 23時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もふもふ子 | 作成日時：2022年9月17日 4時
