雛鳥の足跡…41こ ページ42
「その手を離して下さいませんか?」
声を掛ければ、ギロリと人垣の視線がこちらに集まった。
きっとリーダー格であろう男の手には、腕を捻り上げられているクルーの姿。
多分、腕が外れているかもしれない。
地面に倒れている人は顔面をボコボコにされ、歯が欠け、血を流す鼻は折れている可能性も。
その他にも色んな部位を押さえて蹲るクルーたちにAは眉をひそめた。
「なんだァお嬢ちゃん。コイツらの仲間か?」
「…そうです。私がお相手しますから、どうかその手を離して下さい」
へぇと呟いて手に掴んでいたクルーを投げ捨て、今度はAの顎を掴み上から下に舐めるように視線を巡らす。
ぞわりと嫌悪感が背を這うが、ここを上手く離れるまでは駄目だと我慢する。
「えらく上玉だなぁ。いいだろう、この人数相手に頑張ってくれよな」
そう言ってケタケタと笑い背に腕を捻りあげられ、グッと押され歩かされる。
後ろでA!と、動ける者は報告にいけ!などクルーたちの声が聞こえてくるが、去るまではどうか静かにしていて欲しいとなんとか顔を振り向かせ睨みつければ、ビクリと肩を跳ねあげ大人しくなった。
砂浜にある大きな物置小屋へと連れて来られると中には数人仲間がいて、誤算だとAは眉を寄せた。
合わせて20人ほど。
武器があればどうって事のない人数なのに、あれからも何度も試しているのだが、悔しいことにまだ武器を持つことができない。
生身だけではキツい人数だと、少し焦りが生まれた。
「さぁ嬢ちゃん。ここにいるヤツらがイけるまで耐えてくれよ」
ニタリと舌なめずりをしながらAの手を離し、押さえておけと周りに命じる。
横から伸びてきた腕をバシッと払い落とし、その腕を掴んで背負い投げればシンとする室内。
それを見たリーダー格は大声をあげて笑い、先にちょっと痛い目を見た方がいいようだなァとAを睨みつけた。
やれ!という合図とともに大勢で襲いかかってこられ思わず舌打ちが出てしまったが、しまったはしたないな…と冷静に思う。
正面から来る拳を払い手のひらで相手の胸を突いて飛ばし、左から来る人をサッと躱し背に肘を入れ、後ろからの拳はしゃがんで避けくるりと回って足を薙ぎ払い転倒させる。
こんな事を繰り返せど、倒れ込んだ相手はまた起き上がり襲いかかってきて、キリがなく体力ばかりが削られていく。
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もふもふ子(プロフ) - 如月さん» ありがとうございます(*ˊ˘ˋ*) (2022年10月6日 22時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - もふもふ子さん» かわいいから問題無しです!! (2022年10月6日 19時) (レス) id: 4efb850e8a (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - 如月さん» 幼女な夢主さんが好きで来られた方々には紛らわしい題名ですよね…申し訳ないです… (2022年10月6日 13時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - 雛鳥って書いてあるから子供かな?って思ったけど成人してたわ (2022年10月6日 12時) (レス) @page7 id: 4efb850e8a (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - thmrt1214さん» ありがとうございます!このお話でマルコさんをもっと好きになって頂けて大変光栄です!続編は大人のお話を入れ込んでいきますので、未成年の方は閲覧できないように設定している、ということでごさいます。 (2022年9月27日 23時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もふもふ子 | 作成日時:2022年9月17日 4時