雛鳥の足跡…34こ ページ35
二時間近く奮闘し覗く青にクルー達は喜んでいるが、横槍を入れるようで申し訳ないと思いつつAはまだです…と呟く。
その声を拾ったマルコはどういう事か問いかけた。
｢ここは、サイクロンの目に入っただけに過ぎません。また一時間後ぐらいに先ほどの嵐へと突入するそうです｣
その間に、壊れてしまった部分など補強をして体制を整えて下さいと、Aは言った。
するりとマルコに囲ってもらっていた腕から抜け出し、座り込んで欄干にもたれ目を閉じれば、どうしたよいと顔に張り付いた髪をするりと横に流してくれる。
｢契約を交わしていない妖精の力を借りると、自分の中にある氣力が持っていかれるんです。妖精が強い力を使うほど、大きく氣が引っ張られます｣
次の嵐に備えて氣力を少しでも戻しておきたいので、一時間後に起こしてもらえると助かりますと、Aはものの数秒で眠りについた。
｢A、すまねぇよい。風が変わった｣
そう肩を揺さぶられる振動で目を覚ませば、外で眠っていたはずがいつの間にか船医室に変わっていたことに驚く。
雨に濡れて身体に張り付いていた服の気持ちの悪い感覚もなく、綺麗に整えてくれている。
お礼を言えばとんでもないと、この船をよろしくねとナースたちは頭を撫でてくれた。
怪我をした訳でもないのにマルコが抱えて運んでくれてブリッジへとたどり着けば、また欄干に手をついた逞しい腕に囲われた。
Aが戻ってきたことに気付き、妖精たちが集まってきてもうすぐ来るよと騒ぎ出し、また力を貸してねと言えば、みな頷いて四方八方へと散らばり、航路を教えてくれる。
｢取り舵20です！｣
船が進む度に、どんどんと風が強くなり波に飲まれる。
まとわりつく湿気た空気が気持ち悪い。
｢そろそろ雨が来るそうです。大嵐に備えて、帆は最小限に減らしておきましょう｣
Aの言葉にわかったとマルコは頷き、指示を飛ばした。
｢っ！？面舵60！急いで帆を畳んでくださいっ！！｣
｢どうした｣
｢急に風と波の向きが変わったそうですっ｣
そう言うと、途端に可愛くない大粒の雨が身体を打ち付け、暴風で荒れ狂う。
｢ダメです！横から来ます！備えて掴まって！！｣
横を見れば迫る大波にみな息を飲む。
来るぞ！！というクルーたちの怒号とともに、船体が横に煽られ大きく傾いた。
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もふもふ子(プロフ) - 如月さん» ありがとうございます(*ˊ˘ˋ*) (2022年10月6日 22時) (
レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - もふもふ子さん» かわいいから問題無しです！！ (2022年10月6日 19時) (レス) id: 4efb850e8a (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - 如月さん» 幼女な夢主さんが好きで来られた方々には紛らわしい題名ですよね…申し訳ないです… (2022年10月6日 13時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - 雛鳥って書いてあるから子供かな？って思ったけど成人してたわ (2022年10月6日 12時) (レス) @page7 id: 4efb850e8a (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - thmrt1214さん» ありがとうございます！このお話でマルコさんをもっと好きになって頂けて大変光栄です！続編は大人のお話を入れ込んでいきますので、未成年の方は閲覧できないように設定している、ということでごさいます。 (2022年9月27日 23時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もふもふ子 | 作成日時：2022年9月17日 4時
