雛鳥の足跡…26こ ページ27
｢白ひげ様白ひげ様っ、Aです！入っても？｣
そう扉の前で弾む声で呼び掛けるのはAで、入室の許可をもらって入れば中にいた者たちは目を丸くする。
｢見てくださいこの大きなお魚！今日はエースと釣り対決をしていたんですけど、こんなにすごいのが釣れましたっ｣
釣りって初めてしたんですけど楽しいですねと言って、自分の背丈ほどある魚を掲げる。
一国の王女だったというだけあって、とても落ち着いていて優雅な印象を受ける彼女が、最近はこうして少し、若い者がはしゃぐその様を見せるようになった。
白ひげが良かったなと頭を撫でれば、にっと笑い、笑い方にも変化が見られる。
いい傾向だなと、白ひげもそのそばにいるナースたちも思った。
しばらく談笑していれば突然、敵船だー！！という声と、ドンッと爆ぜる大きな音が響き、船体が少し揺れる。
｢最近ご無沙汰だったが、どこのハナッタレだぁ？｣
グラララと白ひげは笑う。
そういえば…と、海賊同士は争い奪い合うのだと、Aは思い出した。
｢っ白ひげ様、私も戦闘に参加します！何か武器をお借りしてもいいでしょうか！？｣
｢何言ってる。客人は座って待っとけ｣
そう言って白ひげは取り合ってくれなかったが、これお借りします！と、ナースの護身用なのか壁に掛けてあった長剣を手に取った。
途端、Aの身体が固まり動かなくなる。
白ひげが訝しげに見つめていれば、瞳孔を開き、ぶつぶつと何かを言っている。
｢っ出来るわよ！今度はちゃんと、守るのよ！！｣
がくりと膝が崩れ落ち、頭を抱えて突然そう叫んだ。
危険な呼吸の乱れに、落ち着かせてやれと白ひげがナースに指示をする。
ごめんねと取り乱すAの腕に注射針を刺せば、その身は力が抜け、意識を飛ばした。
その身体をひょいと持ち膝へと抱き上げ顔を覗き込めば、涙で濡れている。
フーと白ひげは息を吐いた。
｢片付いたよい、親父。…何があった？｣
報告に来たマルコが白ひげの腕の中でくたりと身を横たわすAを目にとめ、じろりと目が鋭くなる。
おれを睨むなと笑いながら、Aの経緯を話す。
同じような突然の襲撃、同じような武器を持てばそれは…
｢フラッシュバック…トラウマ…｣
マルコがそう呟けば、だろうなと同意が返ってくる。
最近いい傾向だと思われたが、ちゃんと笑って過ごせるようになるまで、まだ道程は遠いか…と二人は思った。
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もふもふ子(プロフ) - 如月さん» ありがとうございます(*ˊ˘ˋ*) (2022年10月6日 22時) (
レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - もふもふ子さん» かわいいから問題無しです！！ (2022年10月6日 19時) (レス) id: 4efb850e8a (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - 如月さん» 幼女な夢主さんが好きで来られた方々には紛らわしい題名ですよね…申し訳ないです… (2022年10月6日 13時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - 雛鳥って書いてあるから子供かな？って思ったけど成人してたわ (2022年10月6日 12時) (レス) @page7 id: 4efb850e8a (このIDを非表示/違反報告)
もふもふ子(プロフ) - thmrt1214さん» ありがとうございます！このお話でマルコさんをもっと好きになって頂けて大変光栄です！続編は大人のお話を入れ込んでいきますので、未成年の方は閲覧できないように設定している、ということでごさいます。 (2022年9月27日 23時) (レス) id: 3d96900827 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もふもふ子 | 作成日時：2022年9月17日 4時
