▸▸▸‣ ページ8
夜になれば、今日はおれは違う部屋で寝るから二人で沢山話しろよとシャチがペンギンとの共同の部屋を出ていく。
二人はそれに甘え、ベッドに寝転び抱きしめあってお互いの存在を確かめながら、今までの事を話し合った。
｢大きくなったね、ペンギン｣
｢シャチも言ってたけど、あれからどれだけ経ったと思ってるんだ｣
ウミの身体はすっぽりとペンギンの身体に収まってしまう。
昔は私の方がちょっと大きいくらいだったのにねと懐かしんだ。
あの日、奇跡的に助かったのだとウミは話し出す。
波に飲み込まれ気を失い、目を覚ませばあの船にいた。
岩礁に乗り上げ倒れている所をお頭が救出してくれたのだと。
ショックか何かでしばらく自分の名前くらいしか思い出せなくて、すべて思い出せた頃にはもう故郷は遥か彼方。
お頭たちは海賊だとは思えないくらい優しい人たちで、自分を船に置いてくれたと。
やりたい航海が終われば故郷まで送ってってやると約束してくれていた。
｢でも、故郷に帰ったってもうあなたはいなくなってたのね。ここで逢えてよかったわ｣
海賊になってるだなんて思ってもみなかったと、ウミはペンギンの胸に額をグリグリと擦り付ける。
｢姉さんだって海賊じゃん｣
武器をぶん回して、昔とかわらずお転婆だなとペンギンは笑う。
拾われた船が海賊船だったんだから仕方ないでしょと、トンと拳でペンギンの胸を叩いた。
おれはあれから…と、今度はペンギンが話し出す。
悪事を働かされてきたこと、爆弾により腕が吹き飛んでしまった事など話すと、辛い思いをしてきたのねとするりと頬を撫でられる。
姉さんだって死ぬ思いをしたんだ、これくらいなんとも…と、さらにギュッと抱き込んで頬に添えられた手に擦り寄った。
｢でも、いい人に出会えたのね｣
｢うん、それはもう｣
それからは、自分の船のキャプテンの魅力について嬉々と話し出す。
それをウミは微笑ましく聞いていた。
話は尽きぬが二人の目はいつの間にか閉じられていて、眠りについたのは朝日が出始めていた頃だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 112人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もふもふ子 | 作成日時：2022年11月23日 2時
